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自動車業界トピックス

経産省、FCV戦略を見直し 商用車も普及へ

水素ステーションは高需要地域に絞り込み

経済産業省は、モビリティにおける水素および燃料電池車(FCV)の普及戦略を見直す。従来、乗用車に軸足を置いてきた普及の取り組みを商用車にも広げるとともに、水素ステーション(ST)の整備を需要が見込める地域に絞り進めるように転換する。同時に関連企業と政府が情報を共有し、製品開発やインフラ整備、法改正を一体で行える環境を整える。まずは2030年を目標として「モビリティ水素官民協議会」で議論し、年内にも新たな方針を示す計画だ。

水素ステーションは需要のある地域に重点設置

FCV、水素STは、ともに普及の踊り場を迎えている。19年に改定した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」では、一定の販売規模が見込める乗用車を中心に、25年に20万台、30年に80万台の普及目標を掲げた。水素STは25年に320カ所を目指すとした。

ただ、足元でFCVの普及台数は約7400台、水素ST数は整備中も含め約180カ所にとどまる。車両数、ST数ともに政府目標と比べ伸び悩んでいる。

こうした状況を踏まえ、商用車にも軸を置き新たな普及戦略を構築する。商用車の脱炭素化では、最大積載量の確保や航続距離に課題がみられるバッテリー駆動よりも、燃料電池(FC)を搭載するパワートレインを有力視する声がある。このため、商用車のFCV化の可能性を探っていく。

30年に80万台としたFCVの普及目標自体は変更せず、多様な車種をそろえるように開発を促し実現を目指す。自動車メーカーや石油元売り、運送事業者などが参画する官民協議会で各社の製品計画や水素の価格目標、想定市場規模などを共有し、企業が投資しやすい環境の整備にも取り組む。

水素STについては、需要が見込める地域の抽出に取りかかる。従来は大都市圏を中心に設置を増やす戦略だったが、幹線道路やコンビニ配送など商用用途が考えられる地域に優先配置することも検討する。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)9月10日号より