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自動車業界トピックス

国交省、車検時のOBD活用 2023年4月から新たに駐車ブレーキなど5項目の確認可能に

国土交通省は、自家用乗用車の車検時の確認項目について、2023年4月から駐車ブレーキなど5つの点検項目で車載式故障診断装置(OBD)を活用した確認方法を認める。OBDを活用して車両の安全性が従来の点検方法と同様に確認できることなどを踏まえて見直した。OBDを備えた車両の普及に伴い、車両状態を把握できる範囲の拡大や不具合・故障データの利活用などが見込まれている。今後も技術開発動向などに応じて、車検時や法定点検時の確認方法の見直しを検討する。

OBDで車両状態を確認できる項目の拡大や不具合・故障データ利活用などが見込まれる

近年、OBDを搭載した車両が増加してきたことなどを踏まえて、国交省は21年8月に「自動車の高度化に伴う安全確保策のあり方検討会」を設置。車検時の確認方法などについて見直しを検討し、今年3月に中間とりまとめを公表した。これに基づき、道路運送車両法に定めた「自動車の点検及び整備に関する手引」の一部を改正する告示を10月に公布する。

目視などで直接確認する従来の点検方法だけでなく、OBDを活用した確認方法も認めるのは、「駐車ブレーキ機構の引きしろ」「トランスミッション、トランスファのオイル漏れ、オイル量」「燃料蒸発ガス排出抑制装置のチャコール・キャニスタの詰まりと損傷」「タイヤの空気圧」の5つ。

燃料蒸発ガス排出抑制装置について、インタンク式のチャコール・キャニスタを装備した車両は、メーカー指定の方法で確認することとする。タイヤの空気圧は、タイヤ空気圧監視装置(TPMS)を装備した車両についてOBDを活用した確認も可能とした。

同手引の一部改正と合わせて、自動車点検基準の一部改正も行う。電子制御方式が主流となった点火装置について、従来の機械式制御方式の点火装置で必要とされていた確認項目「点火時期」「ディストリビュータのキャップの状態」が不要となっていることから、定期点検を行わなくても良いこととする(二輪車を除く)。ただし、機械式制御方式を採用した車両も少数ながら存在することから、該当車両については今後も継続的に点検が行われるように措置する。

自動車点検基準の一部を改正する省令案などについて、26日までパブリックコメントを募集している。

同検討会では、OBDの活用について「車検時」「法定点検(1年点検)時」「日常点検時」で安全確認方法の見直し案を整理した。それぞれの実施項目のうち「今年度も引き続き検討を行うもの」と「検討の結果変更しないもの」が大半を占めた。今回の検討では変更を行わないと判断した実施項目についても「今後の技術の進化に応じて見直しを検討する」との考えを示した。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)9月15日号より