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自動車業界トピックス

政府、「グリーンイノベーション基金」使いセンシングとAIを組み合わせた高度化技術を支援

政府は2兆円の「グリーンイノベーション(GI)基金」で、センシングと人工知能(AI)を組み合わせたデジタルトランスフォーメーション(DX)事業を支援する。完成車工場における設備モニタリングなどでの活用を見込み、エッジ信号処理技術の開発などに取り組む。2030年にはエッジコンピューティング技術でシステム全体の消費電力量を40%以上削減することを目指す。

高度自動運転車やコネクテッドカーでは、車両側で大量のデータを収集し、瞬時に処理する必要があるほか、製造現場においては生産性向上の観点から設備の自動化が今後さらに進むと見込まれる。一方、センサーなどデバイス側が収集したデータをネットワークを介してクラウドに送信する現在の形式では、ネットワーク側の負荷が大きく、情報処理の遅延などにつながる可能性がある。

そこでクラウドとデバイスの間に処理端末を分散して配置し、その端末内で情報処理を行うエッジコンピューティングの活用が期待されている。センシング技術とAI技術を端末に組み合わせることで、端末における処理技術の高度化と消費電力量の低減につなげる考えだ。

GI基金では、自動車を含む製造現場でのDX化を推進するため、IoT(モノのインターネット)を用いたセンシングデバイスの高性能化などを支援する。センサーから得たデータをAI処理前にエッジ処理する技術やこの技術を社会実装するためのソフトウエア開発、回路設計や搭載部品などハードウエアの開発支援などを行う。30年にはデバイス上で情報を取得して処理するまでの一連の工程で現状から4割以上の省エネ化を目指す。予算は有識者を交えた審議会で今後決定する。

富士キメラ総研によると、国内のDX市場は30年には19年度の約4倍となる3兆円規模に成長する見通し。中でもスマートファクトリーやつながる車を用いたスマートシティなど、製造、自動車産業での成長率は一段と高くなる予測だ。日本企業が市場の約4割を握るセンサーデバイスへの政策支援を充実させることで、DX市場におけるイニシアチブの獲得につなげる。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)9月28日号より