初対面の人をぐっと引き付ける魅力がある。物おじしない自然体の振る舞いが周囲を明るくする。社内に限らずお客さまからも「碧さん」と呼ばれて親しまれる存在だ。
子どものころから海外経験が豊富だった。いまでも話せる言葉は英語、仏語、伊語など多彩だ。「海外では多少の故障を女性が直すのが当たり前。その光景を見てかっこいいと思った」。油絵や陶芸など広い趣味を持つ渡邉さんにとって、一番響いたのが自動車だった。
千葉マツダに入社したのは5年前。たまたま知り合った館山店のメカニックの人から誘われたのがきっかけだ。「女性だからと気を使われるのは嫌い。トラックはさすがに辛いけど、それ以外の整備ならなんでもこなせます。ここのお店は男女差なく仕事を振ってくれるので、とても働きやすいですね」と話す。
点検作業から重整備まで受け持つ範囲は広い。つい最近は自動車検査員の試験にも合格した。車検で最終的な合否の判断を下す重要な立場だ。「クルマを整備するより車検を通す仕事がこんなに重いとは。責任感の大きさは想像以上ですね」と表情を引き締める。
「クルマは人間よりも正直」が渡邉さんの持論だ。「1台1台のクルマから聞こえてくる〝声〟を聞くのが好き。ボンネットを開けただけで普段どんな使われ方をしているのかクルマが教えてくれます」。
これからも「クルマの声なき声を聞き取れる整備士でいたい」と話す。そんな渡邉さんに同店の角田誠サービスマネージャーは「館山店にとってなくてはならない存在。これからも活躍してほしい」とエールを送る。