政府はデジタル人材の育成に向け、産官学での連携を強化する。半導体や電池に関連するコンソーシアム(企業連合)を全国各地で立ち上げ、企業と教育機関が連携してデジタル人材の育成に取り組む。成長が期待されるロボットの領域でも同様の取り組みを検討する。半導体や電池は自動車でも戦略物資になっており、自動車産業全体の成長につながる取り組みとして期待できそうだ。
9月末に高等教育機関におけるデジタル人材の育成などを目的とした「デジタル人材育成推進協議会」を新設した。政府は、企業と大学や高等専門学校などの教育機関が一体となってカリキュラムを構築。実用的なスキルの教育を行う取り組みを今年から始めており、すでに九州や東北、中国の各地域で半導体のコンソーシアムを、関西で電池のコンソーシアムを立ち上げた。これらをモデルケースにして全国に広げていく。
電池や半導体の専門的な技術スキルに加え、社会実装する上で必要なソフトウエアやサイバーセキュリティーといったデジタル知識に関しても学べる環境づくりを進める。コンソーシアムにおいて、政府が提供するデータサイエンスや人工知能(AI)に関する人材育成プログラムの活用を検討していく。
また、現在は特定の企業や地域での産学連携にとどまっているロボット人材に関しても育成に乗り出す。教育機関に対して企業からの講師派遣やシミュレータ―機器を提供する取り組みを全国に広げ、デジタルの知見を持つエンジニアの育成に取り組む。
このほか協議会では、成長分野でのデジタル人材の輩出に向け、学部や学科の増設を促す行政支援策なども検討していく。
成長領域でデジタルスキルが高い人材を育成することで、将来的な国際競争力の向上につなげたい考えだ。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)10月3日号より