国土交通省は3日、官民による「運輸分野における水素・燃料電池などの利活用の拡大を目指した技術検討会」を都内の会場とオンラインで開催した=写真。今年度第1回の同検討会で、これまで議論を重ねてきた水素・燃料電池の社会実装や標準化に向けた検討内容や、今後の取り組みなどについて確認を行った。運輸分野における水素エネルギーの利活用と普及・拡大を通じて2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の実現に貢献する。
今年度は、水素・燃料電池の利活用・拡大を目指す上で主な検討項目に挙がっている①水素タンクの汎用化②水素タンクの標準化・規格化③水素燃料の充填のあり方―についてそれぞれの課題を整理し、具体的な取り組みに落とし込むための議論を進めていく。
同協議会の座長を務める国交省の加藤雅啓大臣官房技術総括審議官は「今まさに日本の運輸分野はこれまでと全く異なる社会システムの変革期を迎えている。乗り遅れると世界から取り残され、製品が輸出できないなどの事態がすぐそこまで迫っている」と指摘。同協議会を通じて「(関係業界団体・行政などで)横串をさして水素・燃料電池の利活用を進める事例を1つでも作り上げて、日本の社会システムの変革を目指していければと考えている」と述べた。
国交省は同協議会を昨年度に設置。水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)や日本自動車工業会、日本船舶工業会、日本鉄道車両機械技術協会などの関係業界団体と国交省、経済産業省の関係局が参画して議論を重ねてきた。日本の二酸化炭素(CO2)排出量の約2割を占める運輸分野において、水素エネルギーの利活用と化石燃料の依存度引き下げを図り、政府が目指す50年カーボンニュートラル実現とエネルギー危機に強い経済構造の転換に貢献する。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)10月4日号より