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自動車業界トピックス

経産省、休止中の火力発電所を再稼働する制度の導入検討 電力の安定供給へ

経済産業省は、休止中の火力発電所を必要に応じて再稼働させる仕組みの導入を検討する。大規模災害や異常気象などで供給力が不足した場合に稼働できる「予備電源」として確保する。脱炭素の流れで火力発電所の休廃止が進んでおり、中長期的に電力不足が続く可能性がある。自動車など製造業の工場の操業に影響が波及することも考えられ、早急な対応が求められる。

休止中の火力発電所の再稼働を検討

カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)や脱炭素の潮流で投資先を再生可能エネルギーに切り替える企業が増え、石油や石炭などを原料とした火力発電は休廃止が進んでいる。経産省によると、2016年度以降、毎年200万~700万㌔㍗の火力発電所が廃止されている。

一方、足元のウクライナ情勢などの影響で、今冬は電力を安定供給する上で最低限必要とされる予備率3%を切る可能性が浮上している。今後、電源の新設も予定されているが、大規模災害や異常気象など想定外の事態が発生した場合、電力の供給が追い付かない事態も想定される。

この状況を踏まえ、現在休止している火力発電所を必要な場合に再稼働できる仕組みの検討を始める。石油や石炭、LNG(液化天然ガス)のうち対象をどこまで広げるかや、休止時の維持管理費用などについて有識者を交えた部会で議論する。年末までに中間整理を行い、23年度内に予備電源制度を取りまとめる。

政府は24年度から将来の発電能力を取引する「容量市場」の運用開始を予定する。再稼働する発電所は、同市場で入札、稼働する対象にもなることから、市場を着実に運用できるよう一定の供給量確保を目指す考えだ。

電力需給のひっ迫を受け、7~9月には政府が7年ぶりに全国規模の節電要請を行った。自動車メーカーなども、使用量が多い時間帯の電力使用量を削減するピークカットや省エネ設備の導入などを進め、節電対策を推進した。ただ、さらに厳しい需給が見込まれる今冬には、企業などの電力の使用を強制的に制限する「使用制限令」の発動も視野に入れており、今後も今夏以上の取り組みを求められることになる。

脱炭素化を進めつつも、経済活動を阻害しないため、電力を安定して供給できる体制の構築が急がれる。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)10月4日号より