電気自動車(EV)の普及が見込まれる中、電力需要のピークカットや需給の平準化に対する取り組みが本格化している。EVシェアリング事業を手がけるREXEV(レクシブ、渡部健社長、東京都千代田区)は、SBエナジーやENEOS(エネオス)が実施する電力のピークカットに向けて行動変容を促す実証実験に参画する。中部電力は複数のEVへの充電を平準化するシステムをパナソニックと構築する。
レクシブが参画する実証実験は、ゲームの要素を使って消費者の行動変容を促す脱炭素型ライフスタイル転換促進ウェブアプリケーション「ユアワー」で、2023年1月から2月末まで実施する。SBエナジーが翌日の電力需給がひっ迫する特定の時間帯を予想し、実証参加者に外出を促す通知を発信する。通知を受け取った参加者はセガ・エックスディーとSBエナジーが共同制作するゲームに参加でき、キャッシュレス決済のポイントに交換できる「環境貢献ポイント」を獲得できるという内容だ。
実証は、レクシブが神奈川県で展開しているエネルギーマネジメント連動型EVシェアリングサービス「イーモ」の契約者を対象に実施する。電力需給のひっ迫が予想される時間帯にEVでの外出を促し、自宅などの電力使用量削減につなげる。
中部電力は、パナソニックが開発した複数のEV充電が集中しないようにタイミングを制御する「チャージメント」を活用した充電管理システムを実証する。中部電力の需要予測やEVの運行計画に関する情報を組み合わせて、EVの充電順序を自動で最適化する。
事業所などへのEVの導入が進むと、電力消費が集中して電力契約の基本料金が上がることも考えられる。充電管理システムを使えば、電力料金の安い時間帯に充電をシフトさせて電力使用量の平準化を図るとともに、EVの導入コストも抑えられる。実証実験は10月から23年9月まで実施する予定だ。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)10月25日号より