日本経済団体連合会(経団連)などの経済団体は26日、2023年度の税制改正要望事項を自民党に説明した。自動車関連税制について、経団連は「自動車の枠にとどまらない国民的議論や検討」を求めた。また、段階的な導入が検討されている炭素税などの「カーボンプライシング(CP)」に関しては「現時点では合理的とは言えない」とし、導入に慎重な姿勢を示した。
自民党の政務調査会が開いた政策懇談会に経団連のほか、全国の経済連合会や日本商工会議所などが参加して要望を説明した。経団連は基本姿勢として、企業のグリーントランスフォーメーション(GX)やデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資を後押しする税制改正を目指すべきとした。
自動車関連税制に関して「自動車の枠にとどまらない議論」を求めたのは、経団連自身が9月に「モビリティ委員会」を新設し、自動車を主軸とした日本経済の再成長機会を探っているためだ。
日本の自動車関連税制は、戦後のモータリゼーション(自動車の大衆化)の枠組みをほぼ温存しており、自動車ユーザーに負担が偏っている。経団連としては、増減税を自動車税制の枠内で済ませるのではなく、経済の再成長につながる新たな税制にするよう求めたとみられる。このほか、複雑な税体系の簡素化や環境性能割(自動車税、軽自動車税)の廃止、エコカー減税とグリーン化特例の拡充・延長などを求めた。
一方、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現に向けた財源として政府が導入を検討している炭素税や既存の地球温暖化対策税などに関しては、企業の成長を妨げるとの懸念から、否定的な姿勢を見せた。
日本商工会議所は、中小企業を対象とした設備投資減税の延長と拡充のほか、製造拠点の国内回帰を促す税制を求めた。コロナ禍では特定地域においてサプライチェーン(供給網)が断絶し、完成車生産の停滞などにつながった。こうした観点から、国内に一定規模の供給網を構築する必要があるとし、税制面での支援を求めた格好だ。
自民党側からは、小渕優子組織運動本部長や岩田和親経済産業部会長らが出席した。小渕本部長は「日本企業の発展につながるよう政府としても支援していく」などと語った。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)10月27日号より