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自動車業界トピックス

〈税制2023〉政府税調、燃料税収の減少に危機感

増税でまたも自動車ユーザーの負担?

自動車税制について、与党とは別に政府の見直し議論も始まった。政府の税制調査会(首相の諮問機関)が26日開いた総会では、電動化に伴う燃料税収の減収見通しを踏まえ、走行距離課税の導入を検討する必要があるとの意見が財政当局や委員などから出された。産業界や経済産業省が「受益と負担」の見直しを提起する中だが、燃料税収の目減り分を自動車ユーザーに押しつけたい財政当局の思惑がにじむ。

財政当局は税収の目減り分を自動車ユーザーに押しつけたい思惑が

財務省は、車体と燃料からの税収について、これまでの15年間で約1兆7千億円減ったとの試算を披露した。この背景には燃費の良いガソリン車の普及や、エコカー減税などの減免措置があるとし「今後も自動車の電動化などにより、燃料課税の税収はさらに減少する可能性がある」とした。

財務省はまた、自動車重量税が車両重量に応じて課税されていることなどを引き合いに「道路損壊などに密接に関連する」とし、今後も道路などの維持管理や減災・防災の取り組みに多額の財源が必要との見解を示した。車重が重い電気自動車(EV)は道路への損傷影響は大きいとして、新たな課税方法が必要なことも示唆した。ただ、重量税を含む車体課税の大半を道路整備に充てる「道路特定財源制度」はすでに廃止された。受益の負担の関係はすでに切れたはずだが、財務省は引き続き、道路整備費を自動車ユーザーに負わせたい意向のようだ。

地方税を所管する総務省も、車体課税について「偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築を目指す中で重要な税」と位置付け、車体課税と燃料課税を合わせた年間税負担額でみれば「日本の水準は国際的にも低い」との論陣を張った。ただ、日本自動車工業会などは「日本の税負担は国際的にも突出して高い」と主張する。総務省の試算は、車両の保有期間を7年とするが、業界側は平均使用年数がベース。国際比較の前提が異なれば議論のしようがない。

総会ではこのほか、税調委員から「地方財政に影響を及ぼさないよう、安定的な確保を図ることが重要」との意見が出た。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)10月28日号より