政府は28日、物価高やエネルギー価格の高騰に対応するための「総合経済対策」を閣議決定した。財源となる2022年度第2次補正予算は、一般会計と特別会計合わせて29兆6千億円規模となる。自動車関連では、11月中旬にも予算切れを迎える「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」の追加財源や、国内における電池の製造基盤の強化などに取り組む費用を盛り込んだ。真水で30兆円に迫る財政支援を投じ、自動車産業の電動化を後押しする。
総合経済対策では「物価高騰・賃上げへの取り組み」「円安を活かした地域の『稼ぐ力』の回復・強化」「『新しい資本主義』の加速」「国民の安全・安心の確保」の4つを重点分野に掲げた。
年内に成立を目指す2次補正予算では、来月中旬にも今年度分の予算が底をつくCEV補助金の追加財源を確保する。電気自動車(EV)用の急速充電器や、リチウムイオン電池に関わる規制の見直し、電池製造拠点の整備に対する支援策も盛り込んだ。
電動車関連では、事業用車両における電動車の導入支援や、EVと再生可能エネルギーとの同時導入を前提としたシェアリング事業の促進などにも予算を充てる。コロナ禍でサプライチェーン(供給網)が断絶したことを踏まえ、電池やレアメタル(希少金属)、半導体など、供給途絶時のリスクが高い部素材の確保策も進める。
足元の原油高に対する対策としては、今年1月から実施している「燃料油価格激変緩和対策事業」を来年度も続ける。ただ、油価の動向を踏まえつつ、来年6月以降に補助額を段階的に減らしていく。
総合経済対策の予算規模は、財政投融資を含めた財政支出規模で約39兆円、民間企業の支出を含めた事業規模は71兆6千億円程度。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)10月29日号より