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自動車業界トピックス

経産省、事業承継支援を拡充 中小・小規模企業の後継者育成へ

自動車産業の今後見据え

経済産業省は、中小・小規模(零細)企業の事業承継支援策を拡充する。新規事業計画を後継者らが競うイベントを来年度から全国に広げるほか、後継者同士が意見交流できるネットワーク基盤を整備する。中小企業庁が来年度予算として要望する新規事業費4億円を充てる考え。部品製造や整備など、自動車産業にとっても後継者不足は深刻な課題だ。政府としては、支援や育成策を充実させ、円滑な事業承継や事業拡大を後押しする。

自動車産業にとっても事業承継は課題だ(イメージ)

まず、企業の若手後継者が新規領域の事業計画を競う「アトツギ甲子園」の開催地域を段階的に広げる。これまでは主に都市部で開いてきたが、今年度は東・中・西日本の3地域で予選を開催し、参加者数を前回実績(約100件)から倍増させたい考え。来年度からは全国規模のイベントにしていく。

参加対象も広げたい意向だ。これまではすでに経営を引き継いでいる人の参加が大半だったが、今後は「経営者予備軍」の参加も促す。上位の受賞者には「持続化補助金」の上限額を引き上げるなどの特典もあり、地域の金融機関とも連携して参加者を増やしていく。

後継者同士で意見交換できる「アトツギ支援ネットワーク」も新設し、来年度からの本格稼働を目指す。販路の開拓や提携などの機会を創出することが狙いだ。オンラインで金融機関や法律の専門家などにも相談できるようにする。将来的には、ネットワーク網を細分化し、より地域に根ざした運営形態にしていく考え。

帝国データバンクが約27万社を対象に調べたところ、後継者が「いない」「未定」と答えた企業は全体の6割に当たる約16万社だった。少子化のほか、足元ではウクライナ危機による原料高やコロナ禍で経営が悪化している企業もあり、事業承継問題の深刻化が懸念される。

自動車産業でも全体の9割以上を中小・零細企業が占めており、次世代を担う経営者層の育成が自動車サプライチェーン(供給網)や整備網の今後を左右しかねない。中企庁としても、後継者育成に焦点を当てたイベントや、連携の機会を増やすことで、国内の自動車産業を側面支援する考えだ。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)11月4日号より