経済産業省は、来年度の税制改正に関連し、「エコカー減税」の対象割合を2024年度も7割の水準を維持するよう求める方針だ。経産省は新車納期の長期化や物価高などを理由に、エコカー減税を1年間延長するよう要望している。要求が通れば24年度に減税基準が切り上がるが、この際にも「対象車7割は最低水準。過度に基準を切り上げると増税になる」として財政当局をけん制した格好だ。
現行のエコカー減税では、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車、燃料電池車(FCV)などは免税で、ハイブリッド車(HV)やガソリン車などは燃費性能に応じて減税する。日本自動車工業会によると、21年度のエコカー減税の対象台数は全体の約7割を占めた。燃費改善が進めば優遇対象車が増えていくため、2年に1回の見直し時に減税基準を切り上げるのが通例となっている。
一方、政府の税制調査会(首相の諮問機関)で財務省は「『35年に電動車100%』という目標があるのに、エコカー減税にガソリン車が含まれているのは妥当なのか」と問題提起するなど、ガソリン車などへの風当たりが強まりつつある。財政当局としては基準を厳しくし、税収の目減りを抑えたい狙いがある。
経産省としては、23年度はエコカー減税を現行のまま据え置き、24年度分についても、「過度な基準の切り上げは増税になる」とし、対象車の割合を現状の7割程度に維持するよう求めていく。HVやガソリン車に関しても、過度に基準を厳しくしないよう求める考えだ。
自民党の税制調査会は、早ければ来週にも税制改正要望を仕分けする「マルバツ審議」に入る。その後、「マル政(政策的問題として検討)」扱いになった改正要望を話し合う「マル政審議」「最終とりまとめ審議」を経て、今月中旬に税制改正大綱をまとめる予定だ。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)12月3日号より