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自動車業界トピックス

2023年から車検証の電子化、支局窓口で混雑の恐れ 発行に従来よりも時間

申請時は余裕を持って

2023年1月4日に始まる自動車検査証(車検証)の電子化(軽自動車は24年1月)で、運輸支局の窓口の混雑が予想されている。電子車検証の発行が、従来の紙の検査証に比べて時間を要すると見込まれるためだ。電子車検証に完全に切り替わるまでには約3年間かかるため、この間は窓口の混雑が継続するとみられる。国土交通省では「1月以降、体制を整えて混乱がないように取り組みたい」とした上で、事業者には「申請時は余裕を持った行動をお願いしたい」と、混雑緩和への協力を呼び掛けている。

電子車検証のイメージ

電子車検証は車検証にICタグを貼り付けたもの。登録番号や型式、使用者など必要最小限の情報のみを記載し、所有者や使用の本拠といったデータはICタグに記録する。大きさは現行のA4サイズに対し、A6サイズ相当に変更となり、天地は約半分となる。ICタグの情報は、汎用ICリーダーやスマートフォンで読み取ることができ、「車検証閲覧アプリ」で参照することができる。

電子車検証の発行にはICタグの作業が加わることから、従来の車検証からの切り替えに時間が掛かるとみられている。具体的にどのくらい時間が伸びるかは不明確だが、窓口の混雑につながる恐れが高まっていることは間違いない。ある運輸支局では「申請から交付までに長時間お待ちいただく」と案内し、周知拡大に取り組んでいる。

こうした中、ある整備事業者は「自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)」を利用した継続検査に伴う車検証の交換で、「従来は10台で5~10分だった待ち時間が、約30分に伸びる可能性がある」とみている。3月の車検繁忙期は、さらなる混雑が予想される。待ち時間が長引けば、運輸支局側だけでなく、整備事業者の生産性が悪化しかねないことから、今後、車検入庫などの平準化への対応が迫られそうだ。

ただ、長期的に見れば、車検証の電子化によって、整備事業者の業務効率化につながる可能性が高い。車検証の電子化とともに導入される「記録等事務委託制度」では、委託を受けた指定整備工場がICタグの書き換えと検査標章の印刷が可能になる。現状は車検のOSS申請を行った場合でも、新旧車検証の交換や検査標章を受け取るために運輸支局などに出頭する必要がある。新制度を活用する事業者は、うまく対応できれば車検関連業務の大幅な時間削減を見込めそうだ。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)12月17日号より