政府は、2023年度から新たな電動車導入補助制度を始める。改正省エネルギー法に基づく一部の輸送事業者や特定荷主(前年度の貨物輸送量が3千万㌧㌔以上の荷主)などが対象だ。事業用(緑ナンバー)、自家用(白ナンバー)にかかわらず、車両導入時に一定額を補助する。
改正省エネ法では、新制度として「非化石エネルギー転換目標」を踏まえた中長期計画の作成・定期報告が、大手の輸送事業者や特定荷主などに来春から義務付けられる。新たな補助制度は、この中長期計画で「野心的な導入目標」を作成した事業者を対象とする。
補助率は今後詰めるが、トラックで「標準的燃費水準車両」との差額の3分の2を、乗用車で車両本体価格の4分の1を想定する。約136億円の財源は、脱炭素の投資促進を目的に発行する「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」(仮称)で調達する。
日本の二酸化炭素(CO2)排出量の約2割が運輸部門で、このうち商用車からの排出が約4割を占める。50年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)と、30年温室効果ガス削減目標(13年度比46%減)の達成には、こうした商用車の電動化が不可欠だ。政府は「グリーン成長戦略」として、30年までに最大積載量8㌧以下の小型商用車は新車販売の電動車比率20~30%を、同8㌧超の大型車は5千台の先行導入を目指す。
この事業を通じて、運輸部門の脱炭素を後押しするとともに、電動車のコスト競争力強化にもつなげていきたい考えだ。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)12月27日号より