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自動車業界トピックス

部品サプライヤー、統合基幹業務システムの刷新急ぐ

自前の情報システムから切り替えてDX推進へ

自動車部品各社が統合基幹業務システム(ERP)の刷新を急いでいる。日本精工は約400億円を投じ、自前のシステムから汎用ERPに切り替える。ジャパンディスプレイ(JDI)は3年後にも刷新を終えたい考え。日本では自前の情報システムを運用してきた企業が多く、経済産業省は既存サービスの保守打ち切りや、IT人材不足を踏まえ「2025年までにシステム刷新を集中推進する必要がある」と警鐘を鳴らす。DX(デジタルトランスフォーメーション)の前段階として早急な対応が求められる。

DXの前段階としても早急な対応が求められる

日本精工は、新たなERPを導入し、受注から生産、在庫管理、販売までの一元管理を目指すほか、共通データベースをグローバルで運用することも計画する。今は自前の基幹システムを運用するが、デジタル変革本部長の村田達紀執行役員は「システムを作成した当時のIT技術者が退職した場合のリスクや、メンテナンスの負担も大きい。これからは、市販のERPを利用した基幹システムを使いこなす必要もある」と話す。

JDIも数十億円をかけてERPを更新する。現在のシステムは部門によって仕様が異なる。このため運用が煩雑でデータ共有もしにくい。ERPの刷新で、部門間のデータ互換性を高め、共通プラットフォームとして活用できる基幹システムを目指す。スコット・キャロン会長CEO兼取締役は「2025年度には完了する」と語った。

経産省が設置した「DXに向けた研究会」は、既存システムの老朽化やERP大手の保守打ち切り、古いプログラミング言語を使える人材が退職し始める時期を「2025年の崖」と呼び、「事業部門ごとに構築され、複雑化・ブラックボックス化した既存システムを更新できない場合、DXだけでなく、25年以降、年間で最大12兆円の経済損失が生じる」と試算した。

データの共有や活用が進まなければDXどころか、保守コストの高騰や情報流出リスクの増大など、経営の足を逆に引っ張りかねず、各社は対応を急いでいる。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)1月14日号より