経済産業省は、産官学が連携した半導体のコンソーシアム(共同事業体)を全国で展開する。すでに設置済みの九州などに加え、今年以降に中部・関東にも新設し、まずは5地域体制を目指す。政府は「戦略物資」として半導体の開発体制を強化したり、生産の国内回帰を目指したりしている。人材面でも、それぞれの地域で大学や高等専門学校、半導体メーカーと一体となった育成環境を整える。
半導体分野の人材育成を目的に、昨年、九州地域で「九州人材育成等コンソーシアム」を立ち上げた。同地域は、台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県内に工場の新設を予定しており、先端半導体の安定供給の確保とともに、周辺産業の活性化が期待されている。将来を担う関連人材の育成を目指し、ソニーグループやデンソーといった関連企業や九州大学などの教育機関計42機関が参画し、人材育成カリキュラムの作成や高専への出前授業などを実施していく考えだ。東北や中国地域でも立ち上げを進めている。
この3地域に加え、新たに中部や関東にもコンソーシアムを新設する。現在、関係団体と調整を進めており、早ければ年内にも立ち上げる。詳細は検討中だが「(先に立ちあがった)九州などと比べると、中部・関東は半導体集積地が多くはないため、地域色を踏まえて方針を決める」(経産省の担当者)考えだ。2地域には、ルネサスエレクトロニクスやキオクシアなどの工場がある。こうした企業とも連携していくと見られる。
モビリティ領域においても、自動化や電動化で次世代半導体の需要の増加が見込まれる。安定した製造基盤を国内に確保するためにも、最先端の技術や知識を習得した人材の育成が急務になる。経産省としてはコンソーシアムを通じ、全国規模で専門人材の育成を進めていく考えだ。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)1月18日号より