経済産業省は、再生可能エネルギーを用いて作られた電力を電気事業者が買い取る「固定価格買い取り制度(FIT)」において、工場などの屋根に設置する「事業用太陽光発電」で作られた電力を2024年度から1㌔㍗時当たり12円で買い取る方針を示した。同じ出力の地上に設置する太陽光パネルより、買い取り価格を2割高くする。太陽光発電の適地が少ない日本で、工場や倉庫などの屋根に設置する太陽光パネルを増やしていく。
工場の屋根に設置する太陽光発電においては、発電した電力をまずは企業が自家消費し、余剰分を事業者が買い取る仕組みになっている。この買取価格を、24年度は1㌔㍗時当たり12円にする方針だ。地上に設置する10~50㌔㍗出力の太陽光発電の買い取り価格は同10円で、2割高い水準になる。出力10㌔㍗以上の設備が対象だ。
山間部に設置する大規模な太陽光発電事業において、景観や安全性を疑問視する近隣住民とのトラブルが多発しているうえ、発電に適した用地にも限りがある。事業用太陽光発電は、パネルを設置する企業の脱炭素化につながるほか、電力料金の高止まりが続けば、企業側に価格面のメリットが見込める。工場や倉庫の屋根は一般に広く平面のため、トラブルなどを心配せずにパネルを設置する余地があると判断した。平地と電力の買い取り価格に差を設けることで、導入を促していく考えだ。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)2月2日号より