自動車公正取引協議会(自動車公取協、倉石誠司会長)は、中古車の「支払総額」の表示に関する特設ページを自動車公取協のホームページ上で公開した。ディーラーや中古車事業者などの会員に向けて、支払総額の表示に関するポイントや会員から寄せられた問い合わせなどを掲載している。自動車公取協は、中古車の販売価格を支払総額に表示するための改正規約・規則の施行を10月に予定している。特設ページの開設で会員への理解促進を図り、円滑な施行につなげる。
特設ページは、自動車公取協ホームページのトップページ中段の「おすすめ情報」のバナー一覧にある「中古車の販売価格が『支払総額』に変わります」をクリックするか、新着情報一覧に掲載している特設ページ公開の案内書に記載しているQRコードから読み取ることで表示する。
ページ上では、自動車公取協が製作した支払総額の表示に関するパンフレットのPDFファイルがダウンロードできる。また、ページ下部には、FAQ(よくある質問とその回答)を掲載しており、内容は随時更新する。
掲載内容は、支払総額の表示が必要になった背景や、支払総額表示の概要、店頭や広告での支払総額の表示例、支払総額に含まれる「諸費用」の考え方、支払総額の表示に関するFAQと多岐にわたる。
自動車公取協が自動車公正競争規約・同施行規則を改正するのは、大手などの中古車専業店による「不当な価格表示」の常態化と「不適切な販売行為」の横行、「不適切な諸費用」の請求が中古車業界の大きな問題として、その解決につなげるためだ。不当な価格表示とは、安価な車両価格を表示し、実際には表示価格で購入できないことだ。不適切な販売行為とは、安価な車両価格で消費者を集客し、商談時に「保証」や「整備」などの付帯を強制して価格を吊り上げる行為のこと。不適切な諸費用の請求は、「納車準備費用」など、本来車両価格に含まれるべき費用を諸費用として請求することだ。自動車公取協が設置する「消費者相談室」にも多くのクレームが寄せられており、消費者へのアンケートでは、支払総額表示を希望する回答が約9割を占めている。
特設ページやパンフレットに記載しているFAQでは、30項目の質問内容について、詳細に解説している。諸費用に関する質問に対しては、諸費用の概念、店舗間の移動費用や納車費用など支払総額に含めることができる項目とできない項目を説明している。
支払総額の表示は、中古車販売に関する大掛かりな規約改正のため、自動車公取協はホームページなどの情報提供に加え、円滑に移行するための「プライスボード作成システム」の作成と提供、メーカーなどへのシステム改修の要請、研修会による周知活動を行っている。今後、会員向け研修会の実施を予定する。
自動車公取協は、自動車公正競争規約および同施行規則の改正案が承認されたことを受けて、改正案について消費者庁および公正取引委員会の認定と承認を得るための手続きを進めている。予定通りに進めば、10月に支払総額の表示がスタートする。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)2月14日号より