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自動車業界トピックス

幼児置き去り防止装置の開発停滞、審査合格の製品少なく義務化時の供給に懸念

開発断念の動きも

送迎用バスの幼児置き去り防止装置の装着義務化が4月に迫る中、現時点で政府ガイドラインの性能要件を満たす製品が少ないことがわかった。足元で約20社が政府系機関に審査を申請中だが、合格が公表されたのは4社(10製品)にとどまり、開発を断念する企業も出始めた。政府は今夏までに4万~5万台のバスに装置を取り付けたい考えだが、商品供給が間に合うか懸念する声も上がっている。

幼児置き去り防止装置の取り付け風景

政府は、通園バスの幼児置き去り事故が社会問題化したことを踏まえ、送迎バスの一部で置き去り防止装置の装着義務化を決定。性能要件をガイドラインとして示し、補助金を出す方針を公表している。1月からガイドラインに基づく審査が日本自動車輸送技術協会(JATA、内藤政彦会長)で始まっている。

ただ、JATAによると、試作段階で申請するケースも目立つという。ガイドラインには、真夏や真冬の車内環境を想定し「最低限マイナス30度から65度の条件下での作動」という規定がある。自動車用品メーカーにとっては常識でも、新規参入するメーカーには予想外に厳しいようで、この規定に合格できないケースがある。JATAの担当者は「補助金が出るため、未完成でも申請を急いでいるのではないか」と推測し「ガイドラインの基準を満たした完成品を申請してほしい」と話している。

幼児置き去り防止装置の設置義務化の対象となるバスは全国に約4万4千台ある。また、義務化対象ではないが、設置を推奨する車両も約1万1千台ある。ガイドラインの要件を満たす製品が少なければ、特定メーカーに注文が集中し、納期が長期化する可能性もある。

置き去りリスクが高まる夏までに、十分に装置が行き届くか懸念する声も出ている。

現時点で内閣府が合格を公表したメーカーは次の通り(順不同)。▽アルネット(池上浩太郎代表、東京都港区)▽加藤電機(加藤学社長、愛知県半田市)▽コアテックシステム(服部憲由社長、兵庫県姫路市)▽レゾナント・システムズ(近藤真子社長、横浜市鶴見区)

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)2月15日号より