自動車総連(金子晃浩会長)は15日、自動車メーカーの労働組合が経営側に要求書を一斉提出したことを受け、「2023年総合生活改善の取り組み」に関する記者説明会を都内で開いた。今年は社会的な賃上げの機運が高まる中で、各労組が高水準の賃上げを要求した。
自動車総連は、大手と中小の企業間の賃金格差是正のため、基本給を底上げするベースアップ(ベア)の統一要求額を示さず、賃金引き上げの絶対額を重視する方針を19年から継続している。大手や中小にかかわらず、全ての組合が個別の課題について労使で話し合うよう促してきた。
今回、高水準の賃上げ要求が主要メーカーの労組で相次いでいる背景として、金子会長はこうした取り組みの浸透を前提に挙げ、「物価上昇に対する充当を求める声にしっかりと組合として応えた結果が、例年とは違う高水準の要求になったと思う」と語った。
加えて、大手でも深刻な課題となっている人手不足への対応や生産性の向上、働き方改革に見合う部分も要求の根拠に織り込まれているとし、「必ずしも一律的ではないが、このような要素を各単組で総合的に判断した結果と理解している」と語った。
賃上げについては、連合の芳野友子会長も年頭会見で「ターニングポイントの年」と言及したが、金子会長も「本年は〝人への投資〟を強化することで生活と労働の価値を守り、日本経済の好転に向けたターニングポイントにしないといけない」と強調した。
要求内容で若手への重点的な配分が目立っていることについては「人手不足への対応や、優秀な人材の確保を行う時に、まだ若手が手薄と感じている面がある。また、物価上昇の中では収入が低い人のダメージが大きくなることもある。結果として賃金体系の中で若手に厚めに充当する考え方が全体として強めに出たのではないか」と説明した。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)2月17日号より