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自動車業界トピックス

高速道路のSA・PA、慢性的な混雑解消へ

物流業界の労働環境を改善

駐車場を立体構造にして大型車用駐車マスの確保につなげる(イメージ)

高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)の慢性的な混雑の解消に向け、国や高速道路会社が対策に乗り出す。駐車場を立体構造にしたり、予約システムを拡充したりすることなどが柱だ。特に大型トラックは駐車マス不足が深刻化しており、労働環境の改善が喫緊の課題だ。国や高速道路会社は「ダブル連結トラック」や「中継物流」用の施設なども合わせて整備し、労働環境の改善とともに輸送効率の向上にもつなげていく。

日本高速道路保有・債務返済機構と高速道路会社4社による「高速道路SA・PAにおける利便性向上に関する検討会」の中間とりまとめによると、高速道路のSA・PAは全国に852拠点あるが、1日当たりの駐車需要が駐車マス数を2割上回るSA・PAが全体の6割(505拠点)あった。特に大型車は平日で全体の最大7割、休日で最大2割のSA・PAで駐車マスが不足しているという。

道路各社も、駐車マスの「V字配列」や、遊休スペースに駐車マスを新設するなどして2018年からの4年間で約3千台分の駐車マスを増設したが、電子商取引(EC)の拡大に伴い、大型車の高速道路利用台数は05年から20年までに約15万台増えるなど、いたちごっこが続く。

このため、駐車場の1階を大型車用、2階を小型車用にするなどの立体構造化を進めるほか、食事やトイレなどの「休憩」と、仮眠などの「休息」用で駐車マスを分け、休憩でも確実に駐車できるようにする。休憩用の駐車マスはカメラで監視し、一定期間が経つと退出を促すなどして占有を防ぐ。ドライバーがリアルタイムでSA・PAの混雑状況や駐車マスの利用状況を把握できる仕組みも構築し、駐車

マス予約システムの利便性も高めていく。

輸送効率の向上では、ダブル連結トラック用駐車マスも増やす。国は昨年末、ダブル連結トラックが走行できる路線を約2千㌔㍍から約5千㌔㍍に広げた。現在、専用駐車マスは110拠点に約250台分あるが、新規路線を中心に今後も増設していく。また、輸送途中でドライバーを代え、それぞれ日帰り運行ができるようにする中継輸送用の拠点も増やしていく。

中間とりまとめではこのほか、MaaS(サービスとしてのモビリティ)やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)への対応なども盛り込まれた。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)2月25日号より