経済産業省は、自動走行ロボットを社会実装する環境を整備する。インフラ経由の道路情報やIоT(モノのインターネット)の活用を進めるほか、社会受容性を考慮したモデルケースもまとめる。モデルケースの活用を通じて量産効果によるコスト削減効果を出し、10年以内にはロボットのコストを最大で5分の1、運用コストを10分の1に抑えて普及を目指す。
日本では、4月に控える改正道路交通法の施行で、人が遠隔監視する自動運転の配送ロボットが公道を走行できるようになる。住宅街における「ラストワンマイル輸送」や、ドライバー不足が深刻な過疎地域などで活用を見込んでおり、すでに一部地域では実証実験が行われている。
ただ、自動走行ロボットは1台500万円を超える機体もあり、台当たりの運用コストも月額100万円程度とされる。普及には、こうした初期費用や運用コストの高さが大きな課題だ。
経産省はまず、運用コストの削減を目指し、既存インフラと協調させることなどを検討する。車両トラブルなどが発生した際に、地域住民が駆けつけることで人件費を減らす仕組みをつくるほか、IоT信号機と連携させることで、自動車など他のモビリティとも協調できる環境を整える。
また、既存の地図や道路情報も活用し、効率的な配送ルートを生成できるようにする。経産省は自動配送ロボットの社会実装に向け、来年度予算で約10億円を計上している。
実証などで得られたデータをもとにモデルケースもまとめ、自治体などと共有できるようにする。モデルケースを参照し、自治体が地域事情などに応じて自動走行ロボットを円滑に導入できるようになると経産省は期待する。導入地域が増えれば量産効果で価格も下がりやすくなる。経産省はハード・ソフトの両面で導入を後押ししていく。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)2月27日号より