自動車総連(金子晃浩会長)は21日、2023年の春季労使交渉(春闘)の回答状況を公表した。賃金改善分(ベースアップ相当)を獲得した組合員300人未満の中堅・中小40組合の平均額は4379円(前年同期比4.4倍)に増加し、賃金改善額は比較可能な14年以降で最高の水準となった。大手が主導した賃上げの機運が中小にも波及しつつある。
自動車総連に加盟する1056組合のうち、21日までに大手を含めて163組合が回答を受け取った。そのうち161組合が賃金改善分を獲得し、平均額は5274円(同5.2倍)となった。
回答があった中堅・中小の組合は42組合。うち40組合が賃金改善分を獲得し、さらに6組合は満額回答だった。賃上げ率は全体が約1.9%で、中小に限ると約1.7%だった。21日に開いた記者会見で金子会長は「(自動車メーカー全社が満額回答を示した)15日以降、中堅・中小でも力強い回答を引き出せている」と語った。
現時点で経営側から回答を引き出した中堅・中小組合の多くは製造系企業で、販売系企業などの回答は3月末から4月にかけて山場を迎える見通し。
自動車販売会社は新車の供給不足問題を抱えているものの、中古車相場の上昇やバリューチェーンの強化などで業績が比較的、底堅い企業が多く、平均の賃金改善額は今後も上昇するとみられる。金子会長は「『9回裏』まであきらめずに活動を続けていく」と強調した。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)3月23日号より