「特定整備制度」の経過措置期間(2024年3月末)終了まで1年を切った。特定整備の作業対象に含まれる電子制御装置整備の認証取得工場数は、23年2月末時点で全国約4万3千工場となった。国土交通省は、スキャンツール(外部故障診断装置)導入補助事業の23年度予算を大幅に上積みするなど、認証取得工場をさらに増やしたい考えだ。
国交省によると、電子制御装置整備の認証取得工場数は、この約1年間で1万1千工場ほど増えた。認証を取得した事業者の内訳には、整備事業者だけでなく車体整備事業者や補修用ガラス事業者も含まれる。
特定整備制度は、20年4月1日の改正道路運送車両法の施行に伴い導入された。ただ、対象となる事業者数が多いことなどから、4年間の経過措置期間も設けた。電子制御装置整備の認証を取得するかどうかについては事業者の判断に委ねられている。
23年2月末時点の認証取得工場を全国の整備工場数(約9万1千工場)に照らすと半数弱の割合だ。事業規模や経営判断で認証取得を見送る工場を考えると、経過措置期間を1年残した段階で4万工場を超えたのは、今後の整備事業で「電子制御装置整備への対応が欠かせない」との認識が広がったとも言える。
国交省自動車局の堀内丈太郎局長は30日、認証取得は順調に進んでいるとの見解を示し、「これまでのトレンドからみても、認証取得工場数はまだ増加するだろう」と語った。
国交省は、電子制御装置整備の認証取得をさらに広めるため、整備事業者などへの周知活動を引き続き実施する。運輸支局の窓口でポスターを掲示したり、整備事業者向けの講演会や説明会などで認証取得を呼びかけたりするなど、さまざまな機会を活用していく考えだ。電子制御装置整備で必要なスキャンツールの導入補助事業も拡充する。23年度の予算額は約7億円と、前年度の約2億円から大幅に増やした。
24年3月末の経過措置期間終了が近づくと、駆け込みで認証申請が集中することも予想される。堀内自動車局長は「期限に十分余裕を持って申請していただきたい」と、運輸支局などの混雑緩和への協力も求めた。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)4月1日号より