経験し学んで蓄積したものを広めていきたいー。ダイハツ東京は高島平とあきる野の都内2カ所に板金塗装を手掛けるBPセンターを持つ。高島平BPセンターでメカニックとして働きながら、両BPセンターにおける業務改善推進の役割を担うのが阿部雅巳さんだ。入社時からBPメカニックとして技術を磨き、同社で唯一、板金・塗装・見積もりのすべての部門でBP技術検定1級を取得した。2019年には「ダイハツBP技術コンクール全国大会」に出場。若手技術者の育成にも注力し、「分かりやすく、ポイントを的確に」伝えることを重視した教育にも熱意を注ぐ。
入社後、最初に学んだのは板金だった。社内外注で入っていた会社の親方が板金も塗装もできる職人だったこともあり「熱心に教えてくれた」。特に、仕事の進め方は学ぶことが多く、少しでも時間が空けば「できる仕事の幅を増やしたい」との思いから廃材の塗装をし、親方の意見を聞いた。当時の職人は、先輩の仕事ぶりを見て、真似をしながら技術を身に付けることが当たり前だった中、「材料の扱い方などを理屈も含めて教えてくれた」ことが理解を深めることにつながった。だからこそいまも、自分の作業を言語化できるように意識し、人に言葉で伝えられるように心がけている。今後も「自分が積み重ねてきたことを伝える」ことに注力し、トレーナーの役割として技術の継承を続けていく。
現在のモチベーションは、工場全体の効率化と作業方法の統一化を浸透させること。すでに、調色のマニュアル化やフロントと現場の整備指示書の書き方の共通言語化などを展開している。新しい道具や材料の採用など、新たな効率化にも着手していきたいと考えている。