「10年前には自分が整備士の職に就くことを想像もしていなかった」と話すのは福士大陸さん。スーパーカーなど、車が好きで動画などは見ていたものの、整備専門学校に入学するまで、工具に触れたことはなかった。「車を触ったことがないということがハンデになるのでは、とずっと思っていた」と振り返るが、入学後は先生が基礎から教えてくれ、自分が想定していた以上に実習が多く、初めての工具も整備も「何もかもが新鮮で刺激的だった」という。また、「友達と車の話が普通にできることがうれしかった」という。
就職先はホンダ一択。父がホンダ車好きなこともあり、実家の車がホンダだったのがその理由だ。たくさんのホンダ販社の中から同社に決めたのは会社見学時の雰囲気が良かったから。「最初に感じた良い印象は今も変わらない」とし、仕事が辛いと思ったこともあるものの、続けられたのは「人間関係の良さ、先輩がいてくれたから」と言い切る。コミュニケーションが取りやすく、気軽に相談できる環境が最大の魅力だと考えている。「車に詳しい人が多く、マニアックな情報を生の声として聞くことができることが面白い」と笑顔で語る。
入社から6年が経過した今も「作業は新鮮で楽しい」と充実した日々を過ごす。とくに、自分自身で車とバイクを購入してからは、「お客さまの大切なものを整備させていただいている」と意識し、仕事や顧客の車との向き合い方も変わったと感じている。
心掛けているのは不具合を完璧に整備し、仕上げも丁寧にして返すこと。顧客が喜んでくれる姿を想像して作業に取り組む。理想は「仕事が完璧にでき、後輩などに寄り添える人」だという。「自分が憧れていた先輩のように早くなりたい」と考えている。