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自動車業界トピックス

政府、「保険修理」の交渉実態を調査 指数対応単価の見直し状況 整備事業者に聞き取りも

実態把握し取引適正化へ

業界では高騰する塗料や副資材費を損保への請求額に転嫁できない事例がある

政府は、いわゆる「保険修理」をめぐる事業者と損害保険会社の交渉実態の調査に乗り出す。損保業界を所管する金融庁が国土交通省の協力も得て「指数対応単価」の見直し状況を調べたり、事業者から意見を聞き取ったりする。物価が高騰する中、事業者が負担する塗料や副資材費を損保への請求額に転嫁できない事例があり、日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連、小倉龍一会長)なども対策を強化している。金融庁は実態把握を通じ、取引の適正化をさらに促す施策も視野に入れる。

金融庁は、損保各社が自動車整備事業者や車体整備事業者と協議して取り決める指数対応単価などの見直し状況を調査する。車体整備事業者を中心としたアンケート調査も行う方針で、国交省と詳細を詰めている。国交省の堀内丈太郎自動車局長は「車体整備業界からは、レバーレートに関する問題や指摘をかなり聞いている。金融庁でこの問題に対して取り組みをしていただけるのであれば、国交省も最大限、協力していく」と1日までに語った。

この問題をめぐっては、3月に国会質疑があり、鈴木俊一金融担当相は労務費や原材料価格などの高騰を踏まえ「損保会社と自動車整備事業者の双方が納得できる適正な内容であるべきと考える」と答弁し、4月以降の工賃単価などの見直しについて「金融庁として、その見直しの状況をしっかりと把握したい」との方針を示していた。岸田文雄首相も「金融庁をはじめ関係省庁で、その取り組み状況の把握に努め、取り引きの適正化を促してまいりたい」と語った。

指数対応単価は、損保各社で組織する「自研センター」が作成した事故車修理に関する作業時間を示す「指数」に掛け合わせる1時間当たりの単価を指す。損保各社と事業者は毎年、指数対応単価の改定を協議するが、協議が形骸化しているとの指摘や、協議に用いる経済指標などをめぐり損保側と事業者側で意見の相違がある。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)6月2日号より