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自動車業界トピックス

政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」案、高速道路の速度規制引き上げも

商慣行見直し・物流効率化・荷主と消費者の行動変容が3本柱

物流産業が抱える課題を解決するための枠組みを整える

政府は「物流革新に向けた政策パッケージ」案をまとめた。いわゆる「2024年問題」への対応にとどまらず、下請構造や商慣行など物流産業が抱える課題を解決するための枠組みを整える。一部の政策には強制力も持たせ、実効性を高める。また、トラック輸送の速達性を高めるため、高速道路における速度規制(80㌔㍍/時)の引き上げも案に盛り込んだ。可能な政策から実行していく。

政策パッケージは「商慣行の見直し」「物流の効率化」「荷主・消費者の行動変容」を3本柱とし、それぞれで具体策を列挙した。2030年度に向けた「中長期計画」も年末にまとめ、企業の計画的な投資などにつなげていく。

荷主・物流事業者間または物流事業者同士の荷待ち、荷役時間の削減や、トラック事業者の多重下請構造の是正に向けて規制的措置を導入する。「トラックGメン」(仮称)を置いて荷主や元請の監視を強化する。物流事業者の賃金水準向上に向けた適正運賃収受・価格転嫁円滑化なども図り、荷主企業と物流事業者(運送・倉庫など)の非効率な商慣行も見直す。

技術面では、デジタル化やグリーン化に加えて、パレットや大型コンテナの規格統一化など「物流標準化」も進める。高速道路におけるトラックの速度規制(80㌔㍍/時)の引き上げも検討する。「ダブル連結トラック」の走行可能道路を増やし「特殊車両通行制度」の使い勝手も改善する。地域物流などでの共同輸配送の活用も促していく。

荷主と消費者の意識改革や行動変容にも踏み込む。荷主企業の役員級に物流管理の責任者を配置するよう義務づける。荷主・物流事業者の物流改善策を「見える化」する仕組みも新設する。再配達の削減に向けては、消費者に宅配ボックスや置き配の活用を呼びかける。

国土交通省は2日、2024年問題における規制的措置の具体化を前提とした「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主・物流事業者の取り組みに関するガイドライン」を公表した。荷主事業者に対して荷待ちや荷役作業などにかかる時間を把握した上で、2時間以内とする。再配達率は半減を目指す。これらを24年度目標とした。国交省は、業種や分野別に物流に関する「自主行動計画」の作成と公表を求める考えだ。

24年度目標を達成すれば、2024年問題で懸念される輸能力不足分の約14%をまかなえるという。ガイドラインの順守状況は年度末に調査し、結果を公表する。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)6月5日号より