経済産業省は16日、トヨタ自動車などが手がける蓄電池や関連部素材の技術開発や設備投資計画、合わせて7件に対して最大1276億円を補助すると発表した。トヨタは1178億円の補助を受け、26年10月以降に量産を開始する次世代リチウムイオン電池の投資や、全固体電池の技術開発費に充てる。経産省は4月にホンダとGSユアサの車載電池投資に1587億円補助すると発表済み。世界規模で電気自動車(EV)競争が過熱する中、官民で国内の電池競争力と供給力を高める。
政府は「経済安全保障推進法」に基づき、蓄電池を「特定重要物資」に指定し、国内の電池競争力と生産基盤強化に向けて2022年度補正予算で3316億円を確保している。補助額は設備投資の3分の1、技術開発費の半分だ。4月には、ホンダとGSユアサをはじめ最大1846億円の補助を発表した。今回は2度目の認定案件として、1276億円の追加補助を決めた。これにより蓄電池関連の事業総額は約8616億円となり、補助額は最大3122億円にのぼる。
車載電池関連では、トヨタとパナソニックホールディングスが共同出資するプライムプラネットエナジ―&ソリューションズ(PPES)とプライムアースEVエナジー(PEVE)、豊田自動織機で生産する次世代バッテリーの開発・生産にかかる事業総額3300億円に対して補助金を出す。
これにより、トヨタの国内車載電池生産能力は年間25㌐㍗時増える見通し。トヨタは走行距離を2倍に延ばし、コストを2割下げた「パフォーマンス版電池」を26年に投入する次世代EVに搭載する。また、コストを4割下げたバイポーラ(双極)型のリン酸鉄系(LFP)リチウムイオンの「普及版電池」、さらに航続距離を延ばし、充電時間を短縮できる全固体電池も開発し、27~28年ごろの実用化を目指している。
トヨタ以外では、蓄電池関連部品で愛三工業の車載電池用のセル(単電池)ケースとセルカバーで18億円、日伸工業の正負極集電体や外装材で10億円の補助が決まった。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)6月17日号より