経済産業省による「充電インフラ整備促進に関する検討会」がこのほど初会合を開き、充電インフラのあり方について議論を始めた。政府は2030年までに15万基(うち急速充電器3万基)の整備を目指している。検討会の委員からは「適切な場所に、適切な台数を整備すべき」などの意見が出た。
検討会には、充電器関連事業者、高速道路会社、自動車関連団体をはじめ、商業施設、住宅関連業、観光・宿泊業の業界団体も参画。自治体からは東京都が出席した。
公共用の充電設備は今年3月末で国内に約3万基(うち急速充電器は約9千基)ある。ただ、10年前から設置が始まったため、旧世代の充電器の割合が高く、充電器の更新や利便性、稼働率の問題から設置場所ごとに設置をテコ入れする方策を検討する必要性も生じている。また、規制や制度面での課題や、充電事業の自立を促す方策も今後は欠かせない。
初会合では、充電インフラ整備を進めるにあたって抱えるさまざまな課題を共有した。また、高出力化や複数口化など充電器の質的な進化に加え、電動車の車種拡大や車載バッテリーの容量拡大など自動車技術もにらみ、将来の整備目標を検討することも確認した。近年はメーカー専用など非公共充電器も増えており、社会インフラとしてコスト最適化を図る観点も欠かせない。商用車向け充電器への整備も含め、政府の整備目標が見直される可能性もある。
充電事業の持続可能性を高める上で、現在採用する分単位の時間制課金から使用料に基づく従量制課金への移行も議論の一つとなりそう。電力系統への負荷も含めて議論する必要があり、検討会では、別途設けた「EVグリッドワーキンググループ(WG)」の議論も参考に検討を進めていく。
経産省は今夏にも充電インフラに関するロードマップ(工程表)案をまとめ、9月末にも正式決定する方針。その後、必要に応じて規制緩和や法改正に基づく新制度の創設なども視野に入れる。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)6月27日号より