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自動車業界トピックス

2023年の通商白書、グローバルサプライチェーン強靱化の重要性を指摘

中国リスクや経済的威圧に備え

白書は、グローバルサプライチェーンを強靱化する必要性にも触れた

経済産業省は27日、2023年版の通商白書を公表した。世界経済の減速感や回復に向けた課題を示す一方で、グローバルサプライチェーン(供給網)を強靱化する必要性や、世界経済の成長を取り込むため、企業の海外展開を促す重要性を指摘した。また、中国をめぐる地政学リスクや、経済力を武器に貿易相手国に圧力をかける「経済的威圧」に備えるため、有志国とのサプライチェーン構築や、(新興・途上国の)「グローバルサウス」との連携強化を進める意義も強調した。白書ではまた、民間企業による調査をもとに、海外事業を展開する日本企業が中国に対し「経済安全保障上のリスクを強く認識している」と分析し、投資先として中国を重視する企業が減少する一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドを重視する企業が増えていることも紹介した。

経済的威圧に関し、白書は各国が輸出管理や投資規制などに動いている現状を説明する一方、「デカップリング(分断)の進行は世界経済の成長の大きな下押しリスクとなる可能性がある」と懸念を示した。WTO(世界貿易機関)が機能不全に陥っている中、G7(先進7カ国)やEU(欧州連合)などによる経済的威圧への対応策を紹介した。

日本が取るべき対応として、グローバルサプライチェーンの強靱化と、世界経済の成長の取り込みを例示。前者に関しては「サプライチェーンの実態把握には取引先とのデータ連携が重要だ」とし、官民連携で取り組む方針を示した。また後者については「企業のグローバル化は国内経済にも貢献する」として、「新規輸出1万者支援プログラム」などの施策を紹介した。また、海外企業の研究開発拠点を誘致する「内なる国際化」も進めるべきとした。

通商白書は法律に基づかない非法定白書で、今年で75回目の発行となる。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)6月28日号より