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自動車業界トピックス

国交省、予防安全装置の「効果予測分析」 2023年度は対自転車衝突被害軽減ブレーキなど4装置を選定

道路標識注意喚起装置(一時停止)や速度支援装置は「ロードサインアシスト」などとして実用化されている

国土交通省は、予防安全装置の事故削減効果を推計する「効果予測分析」について、2023年度は「速度支援装置(SAS)」など4装置を対象に選んだ。得られた推計値を車両安全対策の強化に生かす。交通政策審議会(交政審)自動車部会で策定した車両安全対策による30年の事故削減目標達成につなげる。

このほど開いた車両安全対策検討会で決めた。効果予測分析は、30年に向け、どの程度の事故削減が見込まれるかを把握するため、今後の普及率を推定して20年比での予防安全装置の事故削減効果を試算するものだ。

対象装置は、①対自転車衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)②高機能前照灯(AHB、ADB)③道路標識注意喚起装置(一時停止)④速度支援装置―とする。高機能前照灯は18年度から、対自転車AEBSは22年度から自動車アセスメント(JNCAP)の予防安全に関する評価項目にそれぞれ採用されている。残りの2装置も将来的にはJNCAPに追加される可能性がある。また、対自転車AEBS、道路標識注意喚起装置、速度支援装置は、自動運転関連技術の活用につながる先進技術との位置づけでもある。

今後は、予防安全装置ごとに評価対象となる事故を想定し、効果が期待できる事故類型などを絞り込む。そのうえで各装置の「適合率」「危険検出率」「安全作動率」の設定と「普及率」の推定を行い、将来的な技術の進展も考慮しながら事故削減効果の最大値を算出する。

昨年は①夜間対歩行者AEBS②ペダル踏み間違い時加速抑制装置③交差点AEBS―の3装置の事故削減効果を推計した。3装置で死者数は最大193.4人、重傷者数は同1255.4人の削減が期待できることが分かった。実証と分析は日本自動車研究所(JARI、鎌田実代表理事研究所長)が担う。

交政審自動車部会は、車両側の安全対策により、30年までに死者数1200人削減、重傷者数1万1千人削減(いずれも20年比)とする目標を持つ。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)7月13日号より