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自動車業界トピックス

経産省、水素普及の新たな政策案 商用FCVの全長規制を緩和

水素STの常用圧力上限も見直し

経済産業省は、モビリティにおける水素の普及に向けた新たな政策案をまとめた。燃料電池車(FCV)の全長規制の緩和を検討するほか、インフラ面では、水素ステーション(ST)での常用圧力上限の見直しを盛り込んだ。車両、インフラとも商用FCVの普及を後押しする狙いもある。約6年ぶりに改定した「水素基本戦略」に基づく政策と合わせ、2024年度の予算要求に反映させていく。

商用FCVの普及を後押ししていく

政府は、21年に公表した「グリーン成長戦略」で、30年に「国内での水素導入量を最大300万㌧にする」「小型トラックの新車販売の20~30%を電動車にする」ことなどを目標に掲げた。積載スペースの確保が必要な商用車の電動化では、電気自動車(EV)よりもFCV化が有力視されている。30年目標を達成するためには、燃料電池(FC)小型トラックで累計1万2千~2万2千台、FC大型トラックで累計5千台、FCバスで年間200台の供給が必要になると試算した。

車両面では、大型トラックの全長制限の規制緩和を検討していく。FCトラックは、大型の水素タンクを設置することで荷台スペースが1㍍ほど短くなるという。FC化しても積載スペースに影響が出ないようにする。

水素STでは、遠隔監視による無人化を実現できるよう規制を見直す。また、常用圧力の上限値は現在82㍋ パスカル となっているが、今後も高圧化が進めば上限値の引き上げが必要となるため、上限値の切り上げを検討する。あわせて、大量の水素を一度に充てんできるよう、耐久性の高い充てん用ホースの開発なども支援する。

また、エネルギーや産業立地など、地域の事情に合わせたFCVや水素STの導入ができるよう、地域ごとの議論ができる仕組みづくりにも着手する。

政府は、すでに今年度から事業者に対し、FCトラックなどを対象とした購入補助金(商用CEV補助金)の支給を始めている。商用FCVの普及を目指し、技術開発の支援や規制緩和を加速させていく考えだ。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)7月14日号より