国土交通省による「自動車整備士の仕事体験事業」が24日、全国各地でスタートした。学生からの申込数が定員数に達する受入事業者が多く、好調な出足のようだ。官民が連携して仕事の体験機会や現役整備士との交流機会を学生に提供することで、自動車整備士に対する興味や関心を高めてもらい、将来の担い手につなげていきたい考えだ。
この事業は国交省が今年度から初めて取り組むもので、全国の高校生や専門学校生、大学生らを対象とし、受入事業者が独自に企画した3日間のプログラムを体験する。実施期間は24日から9月16日。プログラム内容は、自動車整備に関する最新設備・技術などを目にしたり触れたりできる機会や、現場で働く整備士らとの懇談会など、事業者によってさまざまだ。
国交省によると、受入事業場の応募総数は1千件を超えた。内訳はディーラーが約6割、専業者が約4割。受入事業場の多くは「3日間1コース」の仕事体験を複数設定しており、多くの学生との接点づくりを目指している。
高校生は全学年が対象で、専門学生、大学生、卒業3年以内の卒業生も含む。定員は最大300人を予定し、このうち150人以上は高校生とする。国交省はPRチラシを作成し、約500校の工業高校、約200校の専門学校などに配布。6月から学生の参加申込を受け付けていた。
参加申込は仕事体験開始の2週間前に締め切ることから、8月下旬から9月中旬にかけての仕事体験の受入枠については現時点で余裕がある。国交省はオンラインによる学生向け説明会を8月に8回、追加することを決めた。 同事業は、学生に対するリクルート活動を目的としたものではなく、自動車整備士や自動車業界で働くことの魅力ややりがいを伝えることだが、受入事業者にとっては自社を直接知ってもらう絶好の機会にもなる。こうしたことが好調な参画の背景にあるとみられる。
国交省は、同事業を通じ、いわゆる「Z世代」の若者の就職先の職場環境に対するニーズや価値観も把握し、今後の整備士人材の確保策に反映させていく考えだ。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)7月25日号より