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自動車業界トピックス

メーカー系整備専門学校、外国人教職員採用の動き広がる 留学生対象に支援を強化

自動車メーカー系の整備専門学校で、外国人を教職員に迎える動きがじわじわと広がっている。トヨタ神戸自動車大学校(鈴木二郎校長、神戸市西区)は2023年度、新卒で2人を職員として採用。日産愛媛自動車大学校(髙橋照雄校長、愛媛県松山市)は女性教員が加わった。コロナ禍が落ち着き、今後、外国人留学生が回復していくとみられる。現地語と日本語を理解し、日本の文化に詳しい外国人スタッフを増やすことで、留学生のきめ細かな支援につなげる狙い。また、整備学校では教員不足も課題になっており、外国人指導者の存在が解決につながる可能性もある。

オープンキャンパスでも外国人留学生が目立つ

トヨタ神戸自大が23年度に採用した外国人はベトナムとミャンマー出身。いずれも同校の卒業生だ。うち1人はすでにトヨタ系列の販売会社に出向しており、将来教員になることも視野に、現場で整備技術を磨いている。同校は20年度にもベトナム出身のOBを職員に採用した実績がある。

同様の動きは、他系列でも出ている。日産愛媛自大が23年に採用した女性教員は、ミャンマー出身。日本で国家二級自動車整備士資格を取得し、愛媛日産(岡豊社長、愛媛県松山市)のミャンマー現地法人に勤務した経験もあるという。ホンダテクニカルカレッジ関西(五月女浩校長、大阪府大阪狭山市)も21年度、ベトナム出身で同校の「自動車整備留学生科」を卒業した男性を新卒で教員に採用した実績がある。

外国人の教員や職員は、すでに実績を出している。トヨタ神戸自大では外国人職員が授業の補助を行っているほか、学生の募集活動にも協力している。日産愛媛自大の教員はミャンマー語と日本語、英語の3カ国語を操り、指導だけではなく、学生とのコミュニケーションを深めることに役立っている。

特に留学生は言語だけではなく、日本の生活習慣に戸惑うことも多い。経済的理由から学びながらアルバイトに励まざるを得ないケースもある。こうした経験がある外国人の教員や職員が気軽に相談に応じており、留学生から慕われているという。また、周りの日本人教員にも好影響を与えている。「日本人にとっては当たり前のことに対して疑問を感じ、積極的に質問してくれるため刺激を受けている」(日産愛媛自大の担当者)とし、総じて学生や同僚からは、仕事ぶりを高く評価する声が聞かれる。日本人教員の成り手不足を解決する手段の一つとしても、外国人の人材の活用に期待が高まっている。ただ、外国人教員の採用に慎重な学校もある。関東地方のあるメーカー校の幹部は、「在籍している留学生の出身国がばらばらの場合は難しいのではないか」と指摘する。同じ東南アジアでも国によって言葉は異なるため、採用しても対応できる留学生がわずかとなる恐れがあるためだ。

しかし、少子高齢化の中で、日本人の入学者は今後さらに減少することが考えられる。整備学校にとって、今後、外国人留学生の存在が重要性を増す可能性がある。留学生専用の学科の定員を増員するなど、さらなる受け入れ拡大に意欲を見せる学校もあり、教職員側にも何らかの対策をとる必要が出てくることは間違いなさそうだ。

(諸岡 俊彦)

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)8月2日号より