ビッグモーター(和泉伸二社長、東京都港区)の自動車保険不正請求問題で、鈴木俊一財務相兼金融担当相は1日、ビッグモーターおよび同社と保険代理店契約を結んでいた損害保険7社に対し、保険業法に基づく報告徴求命令を7月31日付で出したと発表した。鈴木金融担当相は、7社の中で特にビッグモーターと関係が深い損害保険ジャパンを名指しし「ビッグモーターへの出向者に係る事実関係、(損保大手3社の中で)1社だけビッグモーターへの入庫紹介を再開した際の経緯についても確認する」と語った。
損保ジャパンと東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の3社は、昨年6月に入庫紹介を停止したが、7月に損保ジャパンだけが再開した。ビッグモーターの不正が「工場長による指示の可能性がある」と知っていながら再開した点も問題視されている。
金融庁は8月末をめどに報告を求める。保険代理店としてのビッグモーターの業務や、損保各社との関係の中で問題がなかったかを調べる。3社に加え、あいおいニッセイ同和損害保険、共栄火災海上保険、日新火災海上保険、AIG損害保険の7社が対象になる。
鈴木金融担当相はまた「これまでも(関東財務局や金融庁が)一般的なモニタリングをやってきたが(ビッグモーターなどの不正の)端緒をつかむことができなかった」と会見で陳謝した。
ビッグモーターの不正事案は広がりを見せ、複数の省庁で事実関係の確認などが進められている。国土交通省は、7月26日に同社に対して任意の聴取を実施。28日には道路運送車両法に基づき、同社の34事業場に対して職員が一斉に立入検査を実施した。
斉藤鉄夫国土交通相は1日の閣議後会見で、現在の調査状況や今後の処分を含めた対応に関する記者からの質問に「現在、調査内容の精査を含めて引き続き事実関係の確認を行っている。このため、今後の処分の有無やスケジュールも含めて現時点で予断を持って答えることはできない」とした。
国交省は、特定整備に関わる不正事案の有無の確認についても、1カ月以内をめどに報告するよう同社に求めている。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)8月2日号より