日刊自動車新聞社

モビナビ学生 モビナビ転職

新規会員登録は現在受付を休止しております

企業の採用ご担当者の方は「モビナビの求人掲載」

メニュー

自動車業界トピックス

経産省、EV用充電インフラ補助金を8月末から再開

高出力充電器の普及を優先して審査

充電インフラの質も重視していく

経済産業省は、電気自動車(EV)用充電インフラ補助金の受け付けを8月末から再開する方針を固めた。「予備分」として確保していた30億円を充てる。再開に当たり、補助金の交付先をこれまでの申請順から、高出力充電器の普及を広げる形に審査を改める。充電インフラの質的向上促す狙いもある。

「クリーンエネルギー自動車(CEV)の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」のうち、充電インフラ用の補助金として2023年度は約145億円を確保していた。ただ、4月以降、経産省の想定を上回るペースで申請が寄せられ、普通充電器向けは6月に、急速充電器向けも7月初旬に予算が底をつき、現在は申請受け付けを停止している。

23年度の予備分として確保していた30億円を財源に充てる。急速充電器向けに5億円、マンションや駐車場などに設置する普通充電器向けに6億円、商業施設や宿泊施設に設置する普通充電器向けに19億円を振り向ける。

予備分の執行に際しては補助要件を改める。これまでは充電器の性能に関わらず、補助要件に合致していれば、申請実務を担う次世代自動車振興センター(NeV、堀洋一代表理事)が受け付けた順番に補助金を交付していた。一部では太陽光発電のように権利保持を優先するような大量申請もあり、事業者の一部から不満の声も出ていた。

再開に当たっては、一定の申請受付期間を設け、この間に寄せられた申請を一括して審査する。「キロワット当たりの申請額(円/㌔㍗)」という指標を設け、申請額の低い順に補助金を交付する。普通充電器の出力は約3~6㌔㍗が一般的だ。急速充電器(50㌔㍗以上)と違い、出力を問わず補助しているが、より高出力の充電器を普及させる狙いがある。急速充電器では、高速道路上の設置申請を優先していく。

急速充電器は8月28日から、普通充電器は9月4日からそれぞれ申請受け付けを始める見込みだ。

政府は、30年に急速3万基を含む15万基の充電インフラ網構築を目標に掲げており、これまでは「設置数」を追う政策を進めてきた。EVの販売とともに、充電事業に参入する企業も増えてきたことから、充電器の出力や設置場所の最適化など充電インフラの「質」も重視していく。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)8月4日号より