政府は「官民連携フォーラム」をこのほど首相官邸で開いた。蓄電池や半導体など戦略分野の国内投資促進を狙いに、岸田文雄首相は「予算・税制・規制のあらゆる面で世界に伍(ご)して競争できる投資支援パッケージを年内に取りまとめる」と語った。自動車業界からは蓄電池製造で協業するホンダの三部敏宏社長とGSユアサの村尾修社長が出席し、電動化の加速と産業競争力強化に向けた電池投資などについて、政府に支援を求めた。
投資支援パッケージでは、企業などが工場を新設する際の課題となる道路や下水道などのインフラ整備支援、土地利用の規制緩和などを検討する。ソフトウエアや特許など、知的財産から得られる収益に対し減税する「イノベーションボックス税制」の検討も進める。
今月中をめどに取りまとめる経済対策では、戦略分野への投資促進や賃上げにつながる省人化投資など、先行して取り組む必要があると判断した施策を盛り込む。
ホンダの三部社長とGSユアサの村尾社長は、滋賀県に建設を計画している車載リチウムイオン電池工場の詳細を説明した上で、企業が日本で技術を磨いて国際競争力を高める事業環境を整備するためにも政府の支援が必要だと訴えた。
具体的には①クリーンで安価なエネルギーの安定供給体制②設備メーカーを含めたサプライチェーン(供給網)の積極的な国内投資につながる施策③産業競争力の源泉となる人材育成に対する中長期的な施策④経済安保に鑑(かんが)みグローバルの戦いに負けない、スピードとアイデアあふれる大胆な政策立案と実行―を挙げた。
官民連携フォーラムには、西村康稔経済産業相と斉藤鉄夫国土交通相のほか、日本経済団体連合会(経団連)の十倉雅和会長ら各経済団体トップ、日本銀行の植田和男総裁らも出席した。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)10月7日号より