経済産業省はこのほど、電気自動車(EV)などの「充電インフラ整備促進に向けた指針」を正式発表した。2030年までの充電器設置目標を充電口ベースの「30万口」に変え、従来の15万基から倍増させる。今後の技術進展やEVの普及状況も踏まえ、関連する規制・制度の見直しなども進めていく。量的整備が中心だった充電インフラ整備は第2ステージに入る。
同指針では、充電インフラ整備に向けた三原則として「ユーザーの利便性向上」「充電事業の自立化・高度化」「社会全体の負担軽減」を掲げる。
充電器の設置目標は世界的にもそん色のない水準とした。公共用の急速充電器3万口を含む充電インフラ30万口の整備を目指す。急速充電の平均出力を現在の約40㌔㍗から80㌔㍗まで倍増させ、充電器全体の総出力を約400万㌔㍗と現行の約10倍に引き上げることを目指す。
補助制度の費用対効果を高めるため、「出力(キロワット)当たりの申請額(円/㌔㍗)」が低い順に補助金を交付していく。まずは23年度予備分(30億円)の執行で、補助対象の限定、充電出力当たり補助金申請額などを基準とした仕組みを導入する。今後も執行状況を踏まえ、補助制度を見直していく。
充電した電力量に応じた「従量制課金」のサービス導入については、25年度からの開始を目指す。チャデモ協議会などが中心となり、従量制課金への対応・導入に必要な具体的ルールづくりを進める。欧米で標準化が進む国際標準通信プロトコル(手順)「OCPP(オープン・チャージ・ポイント・プロトコル)」の搭載も26年度以降、補助要件に盛り込む。設置後のメンテナンスやアップデートを効率的に行えるようにするほか、将来的には電力需給が厳しくなった場合の充電制限なども視野に入れている。
経産省は、6月に「充電インフラ整備促進に関する検討会」を設置。同検討会でのヒアリング結果を踏まえて同指針案を8月にとりまとめ、9月末までパブリックコメント(意見募集)を実施していた。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)10月21日号より