日本自動車工業会(自工会)は22日、2024年1月1日付で片山正則副会長(いすゞ自動車会長兼最高経営責任者)が会長に就く人事を発表した。1967年に自工会が発足して以降、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの大手3社以外から会長が就任するのは初めて。物流の「2024年問題」をはじめとする社会課題を踏まえ、大型車メーカーの片山氏が自動車業界として取り組みを主導する。豊田会長は退任するが、経団連モビリティ委員長は継続する。片山次期会長は「ジャパンモビリティショーで付いた種火(たねび)を拡大したい」と、ショーの毎年開催に向けて意欲を示した。
自工会の会長職は従来、トヨタ、日産、ホンダが1期2年ごとの輪番制で務めるのが慣例だった。ただ、業界が変革期にあることなどを背景に18年からの5年間は豊田氏が会長を務めてきた。今年1月30日には「企業の執行トップが会長を務める」という内規を理由に豊田氏が辞意を表明したものの、各理事からの続投要請を踏まえ、今年5月から1年限りで会長職を続けることになった。
通常は5月に開く総会で会長が代わるが、2024年問題をはじめとした課題への対応を急ぐため、1月に前倒ししてトップ交代する。豊田会長は12月末に退任し、片山次期会長にバトンを渡す。
6人の副会長で会長を支える執行体制も進化させる。モビリティ委員会で定める7つの課題①物流・商用・移動の高付加価値化/効率化②電動車普及のための社会基盤整備③国産電池・半導体の国際競争力確保④重要資源の安定調達、強靭な供給網の構築⑤国内投資が不利にならない通商政策⑥競争力あるクリーンエネルギー⑦業界をまたいだデータ連携―の各課題を担うリーダーを決め、それぞれ対応を進める。
豊田会長は初めて副会長に就いてからの計13年間を振り返り「モビリティ産業を支える業界団体としての土台は作ることができた」と語った。「ジャパンモビリティショー」のほか、自工会の改革などをリードしてきた。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)11月24日号より