富士経済(菊地弘幸社長、東京都中央区)は、MaaS(サービスとしてのモビリティ)や電動キックボードシェアリング、配車サービスなどモビリティサービスの国内市場調査結果をまとめた。2035年の電動キックボードシェア市場は22年比13.6倍の68億円、配車サービスは同5.6倍の8千億円、観光MaaSは同2.4倍の3兆4532億円にそれぞれ市場が拡大すると予想した。
観光MaaSや物流MaaS、医療MaaSなど「xMaaS分類」、カーシェアリングや自動配送ロボット、駐車場シェアなど「モビリティサービス」、駐車装置/機器や駐輪場管理システム、駐車場管理システムなど「インフラ機器・システム」、乗用車や自動運転シャトル、電動キックボードなど「モビリティ」を対象に調査した。
xMaaS市場では、観光MaaSと医療MaaSを注目市場に挙げた。観光MaaSの国内市場は23年に同30.2%増の1兆8907億円に拡大し、35年には同2.4倍の3兆4532億円に達すると予測した。コロナ禍の終息で国内観光が回復しているほか、訪日外国人観光客の増加も追い風だ。さらに、MaaSアプリケーション(アプリ)を介した観光やモビリティのシェアサービス、観光施設などとの連携が広がることで、新たな需要創出につながる可能性が高いという。
医療MaaSの国内市場も拡大すると予想した。23年は同17.6%増の4603億円だが、35年には同54.6%増の6050億円に成長する見通し。高齢化が進み、モビリティサービス利用者数が増えて市場拡大につながる。特に一部の地方都市では医師不足が深刻化しており、移動診察車の活用やオンライン診療の検討も進む。将来は、病院内システムとモビリティサービスの連携による利便性向上や車内医療サービスの拡充が期待される。また、行政側が移動診察車を積極導入し、介護やコミュニティバスといった複数の行政サービスを提供する場として活用することも見込まれる。
富士経済はまた、電動キックボードシェアや配車サービス、キッチンカー、自動搬送ロボットも注目市場に挙げた。電動キックボードシェアの23年における国内市場は同3.4倍の17億円で、35年には同13.6倍の68億円、配車サービスの国内市場は23年に同71.5%増の2470億円、35年には同5.6倍の8千億円、キッチンカーは23年に同2.8%増の882億円、35年には同2.4倍の2058億円、自動配送ロボットは35年に200億円とそれぞれ市場が拡大する見通しという。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)12月7日号より