国土交通省は、トラック運送業界などに対し、ホイール・ナットの緩みを確認するよう緊急指示を出した。大型トラックの車輪脱落事故が相次いでいるため。事業者からの報告によると、冬用タイヤに交換後、まもなく事故が発生したとの情報があり、国交省は適切なタイヤ脱着作業と保守管理の実施を改めて呼びかけている。
全日本トラック協会、日本自動車タイヤ協会、全国タイヤ商工協同組合連合会に対して「大型車の適切な冬用タイヤ交換作業の実施について(事務連絡)」を通知。啓発チラシやタイヤ脱着作業管理表なども活用し、適切なタイヤ脱着作業の実施を行うように、各会員に向けた周知を要請した。合わせて各地方運輸局の自動車技術安全部長などと全日本トラック協会に対して「大型車の車輪脱落事故防止に係る一斉点検の実施について」も通知し、トラック運送事業者には、保有車両のホイール・ナットの緩みの確認と、タイヤ脱着作業後の増し締めが確実に行われているかを点検するよう緊急指示を出した。
12月1日に青森県八戸自動車道で走行中の大型トラックから左後輪のタイヤが脱落。道路保全工事を行っていた作業員に衝突し、その後男性は死亡、同じ作業をしていた別の男性は軽傷を負った。また、11月30日には、島根県でも大型トラックから脱落したタイヤが路側帯を歩行中の男性に衝突し、重傷を負わせる事故が起きた。
車輪脱落事故は以前から問題視されており、国交省は2022年2月に「大型車の車輪脱落事故防止対策に係る調査・分析検討会」を設置し、同年12月に中間取りまとめを発表したところだ。今年10月からは、車輪脱落事故を起こした自動車運送事業者に対し、一定期間の車両使用停止を命じるなどの行政処分を新たに導入していた。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)12月9日号より