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自動車業界トピックス

サプライヤー大手、広がる生成AIの活用 車載機器と対話可能に

政府も開発を後押し

生成AIの利用が広がっている

車載向けシステムで「生成AI(人工知能)」の活用が広がっている。独コンチネンタルはグーグル・クラウドと提携し、生成AIを活用した対話型システムを提供する。ナビゲーションの米マップボックスは、生成AIを活用し「マップGPT」を開発した。人と会話するような自然な対話を実現し、車内における新たな付加価値を自動車メーカーに提案する。

独コンチネンタルとグーグル・クラウドが開発する生成AI技術を活用した対話型システムは、次世代の車内システム用高性能車載コンピュータ(HPC)、「スマートコックピットHPC」を介し、乗員の呼びかけや質問を理解し、回答するものだ。車両の取扱説明書データも参照し、点検や操作に必要な情報などもわかりやすく答える。

マップボックスのマップGPT

コンチネンタルのHPCは、2024年末に30車種以上に搭載される見込みだとしている。スマートコックピットHPCは受注から1年半で生産を開始できるという。

米マップボックスの「マップGPT」では、画面上のアバター(分身)に話しかければ、目的地への案内のほか、レストランなど飲食店の検索や予約、音楽再生などの操作ができる。また、自動車メーカー各社がマップGPTを独自にカスタマイズすることもできる。ピーター・シロタCEO(最高経営責任者)は「スマートフォンメーカーなどが提供するナビと差別化し、優れたサービスの提供につながる」と強調する。

矢崎総業(矢﨑陸社長、東京都港区)もチャットGPTを利用し、運転者との対話を実現するコミュニケーションシステムを開発している。対話を通じた機器の操作や情報取得への活用を想定する。また、ドライバーに会話の機会を適度に提供することで、運転中の眠気防止や漫然運転の抑制にもつながる可能性があるという。

矢﨑社長は「商品を開発する上で、AIをどのように活用するかは重要だ。そのためAI部隊を作って積極的な利用を促している。また、当社のデジタルタコグラフやドライブレコーダーなどから得られるデータをAIに活用し、今までになかった事業モデルをさらに広げていきたい考えもある」と語った。

1日に政府は先進7カ国(G7)デジタル・技術大臣会合で「広島AIプロセスG7デジタル・技術閣僚声明」を採択した。開発者から利用者まで、全ての関係者が守るべき責務を示す生成AIに関する国際ルールだ。今後、各社の生成AIを活用した自動車向け技術開発にも影響を与えそうだ。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)12月14日号より