ダイハツ工業は20日、衝突安全性などの認証不正について、これまで公表した6車種だけでなく、国内外合わせて64車種と3機種のエンジン(生産終了車を含む)で不正が確認されたと発表した。国から基準適合性の確認を受けるまで新車全車種の出荷を停止する。第三者委員会の調査報告で判明した。すでに発表している側面衝突試験での認証手続きに加え、エアバッグのタイマー着火の不正加工や試験結果の虚偽記載などが新たに分かった。サプライヤーや販売店などへの影響は必至で、出荷再開時期が焦点となりそうだ。
新たに不正がわかった車種は生産終了車種のほか、海外生産車やダイハツが開発してトヨタ自動車やマツダ、スバルにOEM(相手先ブランドによる生産)供給しているモデルも含まれる。生産・開発中の車種は国内向けが28車種、エンジン1機種、海外向けが16車種。不正は1987年に発売した車両でも見つかった。25の試験項目で174個の不正が見つかった。
また、調査の過程で「キャスト」の側面衝突における「乗員救出性に関する安全性能」が法規に適合していない可能性も発覚した。リコール(回収・無償修理)につながる可能性がある。
不正の要因は、開発期間の短縮や現場任せで管理職が関与しない体制、「新型車の発売時期をずらせない」(関係者)といった背景から、現場がプレッシャーを感じ不正に及んだとみられる。第三者委員会は「本件でまずもって責められるべきは、不正行為を行った従業員ではなく、ダイハツの経営幹部である」と指摘した。
第三者委員会は再発防止策として、車両の短期開発について、開発と認証プロセスの見直しなどを求めた。すでに同社は開発体制について、開発部門から性能開発と評価・認証の各機能を分離させている。今後は「相互けん制が機能する組織体制の再構築が必要」(第三者委員会)としている。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)12月21日号より