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自動車業界トピックス

〈年頭の辞〉日本自動車会議所 内山田竹志会長 税制抜本見直しの好機

 新年あけましておめでとうございます。

昨年は、日本社会や経済が「普通」に戻ることができた年だったと思います。私ども日本自動車会議所の総会・懇親会も、4年ぶりに通常開催とし、多くの会員の皆さま方や国会議員の先生方にもご出席いただきました。また、東京モータショーをより進化・発展させて開催されましたジャパンモビリティショーには111万人を超える来場者が詰めかけて、大盛況のうちに幕を閉じました。当会議所の活動につきましても、ほぼコロナ前と変わらない、制約のない事業活動を展開しているところです。これもひとえに、会員をはじめ多くの関係者の皆さまから多大なご支援・ご協力を賜っているおかげと改めて認識し、皆さまに心から御礼申し上げます。

さて、日本社会は活気を取り戻し、景気は回復基調が続いています。しかしながら、自動車産業を取り巻く環境は決して明るいものではありません。慢性的な人手不足や歴史的な円安、中東・ウクライナ情勢の影響による資材・エネルギー価格の高止まり、半導体・部品の供給制約など、依然として多くの懸念材料が積み残されたままです。こうした中、自動車産業はGX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)による100年に1度と言われる大変革期に直面し、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)や2050年カーボンニュートラルの実現という大きな課題とも向き合っております。

わが国の自動車産業は、全就業人口の約1割にあたる550万人の方々が働き、製造業の製造品出荷額や輸出総額においてもそれぞれ約2割を占めるなど、日本経済をリードする重要な基幹産業です。自動車産業の動向は、間違いなく日本経済の今後を左右するものであり、私ども自動車産業はその自覚の下、各団体・企業が力を合わせてこの困難に打ち勝って乗り越えていく所存・覚悟でおります。

私が常々申し上げているとおり、この大変革期において、自動車業界の大きな課題である「過重で複雑な自動車関係諸税」は、まさしく今が抜本的に見直す大きなチャンスであることは間違いありません。昨年決定されました「令和6年度税制改正大綱」においては、引き続き「(自動車関係諸税の見直しについては)国・地方を通じた財源を安定的に確保していくことを前提に、受益と負担の関係も含め、公平・中立・簡素な課税のあり方について、中長期的な視点に立って検討を行う」とされております。

今後、モビリティの拡がりとともに、新たな経済的・社会的受益者も拡がってまいりますが、私どもとしましては、自動車の枠にとらわれず、受益と負担の関係を再度整理し、税体系の抜本的見直しを行い、自動車ユーザーの税負担軽減につなげる必要があると考えております。いずれにしましても、「自動車関係諸税の負担軽減・簡素化」の大原則に立って、自民党自動車議員連盟との連携なども通じて、カーボンニュートラルの実現、自動車保有全体の電動化促進などの大きな方向に沿うよう、私どもは会員の皆さまと一丸となって、今年から本格的な議論を展開してまいります。

来月2月上旬には表彰制度「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」(CSP大賞)の表彰式が行われる予定です。本賞は自動車産業で働く550万人の方々のみならず、自動車ユーザーも含めて、自動車にかかわる全ての方々に改めて「ありがとう」と感謝を伝える場をつくりたいとの気持ちから日刊自動車新聞社との共催で創設したものであり、まもなく大賞はじめ各賞の受賞者が公表される運びとなっております。今回で3回目の開催となりますが、日本全国から数多くの団体・企業の皆さま方から素晴らしい取り組みをご応募いただいており、定着しつつあるとの確信を持っております。本賞への認知も広がってきており、私も出席させていただく表彰式を大変楽しみにしております。このほか、当会議所の活動は本年も「交通安全」「保険」「クルマ好き拡大」を重点事業として取り組んでまいります。

「交通安全」につきましては、昨年に引き続き、体験型交通安全イベント「交通安全。アクション」を開催する予定であり、イベントや講演会などの多様な啓発・PR活動を継続・強化いたします。

「保険」につきましては、当会議所も深くかかわる「自動車損害賠償保障制度を考える会」による精力的な世論喚起や陳情活動が実を結んだ成果として、自賠責保険料積立金の一般会計からの繰り戻しは、23年度当初予算60億円に補正予算をあわせて73億円。さらに、24年度当初予算では65億円と7年連続で増額での繰り戻しとなりました。しかし、いまだに繰入金5867億円(23年度末見込み)が返済されておらず、引き続き「考える会」と協力して早期全額返済に向けて道筋をつけるべく要望活動などを展開していきます。

「クルマ好き拡大」につきましては、フォロワーや閲覧者も増えてきているフェイスブックやX(旧ツイッター)などのSNS(会員制交流サイト)を引き続き活用し、若い人たちにクルマの魅力や楽しさをアピールしていきます。また、会員研修会につきましては、遠方からでも参加できると好評のリアルとオンラインのハイブリッド開催によって参加者の拡大を図るとともに、内容の充実にも取り組みます。

最後に、当会議所の第11代会長で、19年間務めていただいた豊田章一郎名誉顧問が昨年2月に逝去されました。豊田氏は、常々、「日本の基幹産業である自動車産業が社会的な役割を果たしていくには、関連業界が連携し、協調することが大切である」とおっしゃっていました。私ども日本自動車会議所は、この言葉を胸に刻んで、「自動車関係団体の総合団体」としてさまざまな取り組みにチャレンジしてまいります。引き続き倍旧のご支援・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

この1年の皆さまのますますのご繁栄とご活躍をお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)1月1日号より