国土交通省は、バッテリー交換式による商用電気自動車(EV)の国際基準づくりを目指す官民組織「カーボンニュートラルセンター」を立ち上げ、31日に都内で初会合を開く。まず、今年中にバッテリー交換式EVの基準に関する議論を国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で始めることを目指す。
国交省、経済産業省、環境省、自動車技術総合機構交通安全環境研究所、日本自動車工業会(片山正則会長)、日本自動車部品工業会(有馬浩二会長)などの関連省庁・団体・機関が参画する。初会合ではバッテリー交換式EVの国内外動向を共有し、今後の活動計画を議論する。
国交省としては、主要国の政府やメーカー、研究機関への働きかけをはじめ、ISO(国際標準化機構)やJIS(日本工業規格)といった標準化活動との連携などをオールジャパン体制で進め、最終的に国際基準の策定にこぎ着ける狙いがある。
とくに商用車は稼働率を落とさないことが求められ、車両とバッテリーを分けて販売することで事業者負担を抑えられるなど、バッテリー交換式と相性が良いとされる。すでにいすゞ自動車が、伊藤忠商事など4社と共同実証を首都圏で行っているほか、三菱ふそうトラック・バスも、米スタートアップのアンプルと商用EV向けバッテリー交換技術に関する共同実証を始めている。
ただ、交換用バッテリーやバッテリー交換ステーション(ST)の標準規格などは定まっていない。乗用車用や二輪用では、すでに中国やインドでバッテリー交換式の規格が乱立し、標準化機運が高まらない一因にもなっている。
国交省としては、オールジャパンで連携するとともに、これまでの実証データも活用して各国の合意を取り付け、国際基準化を目指していく考えだ。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)1月29日号より