ダイハツ工業の1月の販売台数は前年同月比で6割減となる見通しだ。認証試験での不正を受け、国内すべての工場で出荷・生産を停止していることが影響した。ディーラーの在庫車を充てたことで、販売台数減は最小限にとどめることができたようだが、ディーラー各社の在庫は1月分で底を突く見通し。国土交通省からは、複数車種の出荷停止指示が解除されたものの、具体的な稼働再開時期は決まっていない。早期に出荷・生産が再開されなければ、2月以降、さらに販売現場への影響は広がる見込みだ。
日刊自動車新聞の調査では、ダイハツの26日時点の1月販売台数は約1万8千台で、内訳は登録車が約800台(前年同月比で約6割減)、軽自動車が約1万7千台(同約55%減)。このままのペースで進めば、登録車が900台程度、軽自動車が1万8千台程度となり、販売台数全体では前年同月比65%減となる見通しだ。12月末から続く国内工場の稼働停止の影響を受け車両の供給不足や、顧客からのキャンセルにより、前年同月に比べ大幅減となった。
ダイハツでは「(ダイハツ工業からすでに)出荷された車に関しては販売店と顧客の判断で売っていただいてもかまわない」としており、1月は在庫で対応するディーラーが多かった。中四国地域のダイハツディーラーは「1月半ばくらいまで、軽自動車の届出台数は前年とあまり変わらない水準で在庫車で対応した」という。
キャンセルは一部あったものの、ダイハツの武田裕介取締役は「肌感覚だがキャンセルは10%程度」と、影響は限定的だったとみる。別のダイハツディーラーも「(登録や届け出前に)戻ってきた車両が多少ある程度だった」と振り返る。ただ、在庫が少ない、あるいは持たないディーラーはすでに新車を販売できない状況になった。
国内全工場の出荷停止は不正が発覚した12月20日から、生産停止は12月26日から続いており、ともに2月以降の再開のめどは立っていない。販売現場では「1月半ば以降、在庫が少なくなってきている」(前出の中四国地域のダイハツディーラー)状況だ。出荷・生産停止が長期化すれば、1月は在庫車で対応できていたディーラーにも影響が広がる見通しだ。
他銘柄への乗り替えの可能性も出てくる。現時点では「スズキに来店するダイハツ客も多いと聞くが、車を見に行った程度」(同)で、購入に至ったケースは少ないとみられる。ただ、ダイハツの武田取締役は「法人だと『ここまでに間に合わなければならない』というケースがある。間に合わなければスズキに行くことがあると思う」と話す。販売現場では「ダイハツ離れ」を防ぐ取り組みなどを実行して、顧客とのつながりを深めていく考えだ。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)1月31日号より