最大震度7を記録した能登半島地震から約1カ月がたった。日本ガイシ、ジャパンディスプレイ(JDI)など被災したサプライヤーの稼働再開が進む一方で、完成車生産への影響がじわりと出てきている。工場の稼働を止めるほどではないが、ホンダや日野自動車が減産し始めたほか、日産自動車も生産調整を予定している。電子部品メーカーなど一部企業の設備が復旧しておらず、部品不足が見込まれるためだ。代替部品の調達にも最大で半年かかる場合もあり、設備の復旧が遅れれば、影響がさらに広がる可能性もある。
ホンダでは、1月26日から鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)とホンダオートボディー(同四日市市)で生産する「N-BOX(エヌボックス)」などの生産計画を地震前から減らした。この影響で該当車の納期は2、3カ月ほど延びる見通しだ。日野も1月中旬から「地震による部品の欠品で1割ほど減産している」(橋本博総務・渉外・広報機能長)という。トヨタ自動車も現在は国内工場の稼働を維持しているが、加藤貴己調達本部副本部長は「この後はどうなるか分からない」と話す。
北陸地方には東芝や村田製作所など、半導体や電子部品の事業所が集積する。多くは稼働再開にこぎつけているものの「3社ほど復旧に時間がかかっている」(自動車メーカーの調達幹部)という。
半導体不足の影響からようやく脱しつつあるタイミングで大地震に見舞われた国内の自動車産業。メーカー各社は被災工場への復旧支援を急ぐとともに、在庫の有効活用や代替生産の検討など、生産への影響を最小化するよう、対応を急いでいる。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)2月5日号より