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自動車業界トピックス

トヨタ系サプライヤー、相次ぐ不正に警戒感

開発・生産体制の総点検急ぐ

トヨタ自動車グループで認証不正に伴う車両生産の停止が相次ぎ、系列部品メーカーが警戒感を強めている。足元の業績はこれまで続いた高水準な車両生産と円安で好調だが、1月以降はダイハツ工業の生産停止影響が避けられない。各社は、仮に3月までダイハツの稼働が止まった場合、最低でも数億円、最大で100億円超の減収を見積もる。グループ内ではリコール(回収・無償修理)などの品質問題も相次いでおり、各社は開発や生産体制の総点検、風土改革などを急ぐ。

2024年もトヨタは高水準の生産を続ける予定だが

「昨年12月で20億~30億円、1~3月期で170億円、合わせて190億円程度の減収を見込んでいる」―。デンソーの松井靖副社長は2日の会見で、ダイハツの稼働停止影響をこう見積もった。愛三工業の加藤茂和執行役員は「売上高で10%以下の取引量だが、車種ごとに採用される部品が違うので予想が出せない」と通期業績見通しを据え置いた。稼働停止の影響が見通せない中、ファインシンターの小林努常務執行役員は「柔軟な生産対応を行っていく」と語った。

豊田自動織機による自動車向けディーゼルエンジン認証不正に伴う影響については、各社とも状況を見極めている段階だ。「大きな影響はないと見ている」(ジェイテクトの神谷和幸最高財務責任者)や「現時点では通期見通しに影響は含んでいないが、ほぼ吸収できる見通し」(東海理化の篭橋榮治収益改革本部長)など、業績影響は軽微とみる企業もある。

ただ、系列部品メーカーでは品質問題に伴う業績影響も顕在化している。デンソーとアイシンはリコール関連費用を追加で計上し、2024年3月期の連結業績予想を下方修正した。第3四半期に品質関連費用として約1500億円を計上したデンソーは「合理的に見積もり、現時点で引き当てる必要あるものは全て引き当てた」(松井靖副社長)。アイシンは米国子会社が生産したエアバッグ部品のリコール費用として630億円を計上した。

認証不正や品質問題が相次ぐなか、トヨタは「グループビジョン」を定めた。ジェイテクトの立花昭人経営役員は「ビジョンは未来に向けて何をするべきかを示唆している。一人ひとりが考えて行動することを全従業員がグローバルでやっていくことをやらないといけない」と受け止める。トヨタは24年の年間生産計画台数を1030万台と定め、今後も高水準の車両生産を続ける見通しだ。

アイシンの伊藤慎太郎副社長は「今の水準が続いていけばどこかにしわ寄せがいき、負担が大きくなる可能性はある。負担がどこかに偏らないよう、仕入れ先を含め注視しながら生産を続けていく」と気を引き締めた。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)2月5日号より